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山の頂で隕石衝突クレーターを発見 世界初 中国で
地球上には約200カ所の隕石衝突クレーターが確認されているが、これまでに山の頂で衝突クレーターが発見された事例は全くなかった。だが中国の吉林省にある標高1318mの白鶏峰と呼ばれる山の頂にある巨大な圏谷(カール)状の窪みが、隕石衝突クレーターであるとの研究レポートが、米国の科学ジャーナル「Matter and Radiation at Extremes」で公表された。
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発表によれば、白鶏峰は主に海で堆積された砂が固まってできた砂岩でできており、ごく一部花崗岩が含まれている。この山には二重の峰があり、一方の標高は1318mで「前白鶏峰」、もう一方の標高は1300mで「後白鶏峰」と呼ばれ、これら2つの山頂間の距離は約1400mでカール状の窪地がある。これを上空から見ると、縁から縁までの直径が1400mのほぼ円形構造であることが分かるが、このような地形は、地殻変動で形成されるとは考えにくいという。
白鶏峰の砂岩層は新原生代(10億年~5億4200万年前)に、花崗岩層はジュラ紀に形成され、その年齢は150~172万年前とされる。また衝突によって放出された鋭いエッジや角を持つ岩石破片の厚い堆積層が、白鶏峰の広い範囲(特に前白鶏峰と後白鶏峰)を覆い、岩石破片の大きさは最大で数mに及ぶ。
この破片が隕石衝突によって形成されたと決定づけられたのは、破片中の石英に平面変形特徴(PDF)が認められたためだ。このPDFは地球の衝突構造を特定するための重要な証拠とされる存在だという。
この地形が形成された原因となった隕石の衝突は、岩石破片のもとになった花崗岩形成が今から150~172万年前で、それ以降であることは明白だ。北京高圧科学研究センターの科学者らによれば、隕石衝突岩石破片の浸食があまり進んでいないことから、衝突はそれほど古い年代ではないが、それを特定するにはさらに調査が必要としている。
隕石落下頻度は、直径1mmで30秒に1度、1mで年に1度、10mで10年に1度、100mで1000年に1度、10kmで1億年に1度とされ、これまでに地球上で発見された隕石クレーター数は明らかに少ないため、今後も今回のような発見がたくさん出てくるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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