2023年上半期の「不適切会計」、過去2番目の高水準 東京商工リサーチ

2023年7月25日 08:16

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 東京商工リサーチは21日、2023年上半期における「不適切会計」が35社(36件)と過去2番目の高水準だったと発表した。うち20件が「誤り」で、着服横領や粉飾が計16件だった。

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 内容次第では上場廃止や違約金徴求のほか、取引先などの社会的な信用を失い、事業の継続に対し大きなダメージを受けることになる。だが調査を開始した2008年以降、件数は増加傾向にある。

 日本特殊陶業が19日、東芝に対しTOB(株式公開買い付け)を実施する予定の投資コンソーシアムに参加し、合計500億円を拠出すると発表。コンソーシアムは、日本産業パートナーズ(JIP)が中心で、東芝を非公開化し現在の複雑な株主構成を整理したうえで、中長期的な視点から成長シナリオを描く。

 東芝は2015年、インフラ事業における工事進行基準などの分野で利益を水増しする粉飾決算が発覚。その後、原子力発電事業における減損損失の計上で資本不足に陥り、現在の株主であるアクティビストによる資本増強を受け入れた。東芝がJIPからTOBの提案を受ける至った最初の経緯として、粉飾決算をあげる人は多い。

 東京商工リサーチが21日に発表した、2023年上半期に「不適切会計」を開示した上場企業数は、35社・36件で、上半期としては過去2番目の高水準だった。過去最多は2022年上半期の38社・38件で、年間では2019年の70社、73件。

 36件の具体的な内容は、経理ミスなどの「誤り」が最多の20件、子会社・関係会社の役職員による「横領着服」が11件、架空売上の計上などの「粉飾」が5件だった。以前は海外の子会社や関連会社での不適切会計が多かったが、当上半期は国内を含む子会社などの役職員による横領着服が目立った。

 産業別では、労働者派遣業などの「サービス業」の9社が最多で、「製造業」の7社、「建設業」と「卸売業」の5社が続いた。製造業においては、子会社等における製造や販売管理の体制不備を原因とするものが目立った。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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