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イギリスの文化に触れる! イギリス英語・スラング特集 (5)
イギリス英語のスラング特集、5回目の今回は、知らない人にとって一見しただけでは意味の想像がつかないスラングだと思う。しかし、イギリスではごく一般的なスラングだ。実際に使用するかどうかはともかく、イギリスで育った人なら確実に理解できる。
【こちらも】イギリスを深く理解する! イギリス英語・スラング特集 (4)
■Cream crackered
「cream crackered」とはいっても、お菓子のクリームクラッカーとは関係ない。ここでは、「疲れ果てた」を意味するスラングである。
なぜクリームクラッカーが「疲れた」になるのかと言うと、これも以前説明したCockneyのライミング・スラングなのだ。
「look」->「butcher's hook」->「butchers」のように、ある言葉を韻を踏む別のフレーズに置き換え、さらに、そのフレーズの前半部分を省略するのが、ライミング・スラングの作り方だった。
「cream crackered」の場合はもっと単純で、「疲れ果てた」を意味する「knackered」と「cream cracker」の音が近いため、その語尾に「ed」をつけて形容詞にしてしまっただけである。
なお「knackered」も、イギリスでよく用いられるスラングと言ってよいだろう。もともとは、「knacker」という、使い物にならなくなった馬を処分する人を意味する単語に由来する。
つまり屠畜場に連れて行かれるほど疲れ果てた状態のイメージから、「knackered」で「へとへとに疲れ果てた」(extremely tired, exhausted)を意味するようになった。
このように、既存のスラングを言葉遊びによってさらに言い換える例はほかにもある。イギリスならではの独特のウィットではないだろうか。
・After studying all night for the exam, he was cream crackered.
(試験のために一晩中勉強して彼はひどく疲れていた)
■Dog's dinner
「dog's dinner」、直訳すれば「犬の夕食」とでもなるが、もちろんそんな意味ではなく、「mess」や「fiasco」、つまり「混乱」や「失敗」、「めちゃくちゃな状態」を指すスラングだ。物事が思い通りにいかなったときなどに使われる。
同義語に「dog’s breakfast」という言い方もあるが、もともとはこちらが先にあり、そこから派生して「dog's dinner」も使われるようになったらしい。20世紀初頭にイギリスで生まれたスラングだが、ほどなくアメリカにも広まり、今ではオーストラリアやニュージーランドでも使われる。
・You've made a dog's dinner of the project..
(君はプロジェクトをめちゃくちゃにしてくれたよ)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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