環境変化する中古車市場の中、プロトコーポレーションの中計は実現するのか!?

2023年7月14日 08:33

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 プロトコーポレーション(東証プライム&名証プライム)。1977年に日刊中古車通信の創刊に始まる。目下の主力は「グーネット」サイトを介した中古車の売買仲介事業。サイト上の広告・情報料収入が軸。新車市場の拡充やタイヤ等の物販・チケット販売にも領域を拡大中。

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 2020年3月期から前22年3月期までの3期間、「12.5%、15.78%、8.1%の営業増益」。そして今3月期も「3.6%の増収(1093億8000万円)、5.5%の営業増益(77億4000万円)」堅調な計画。

 前期末でグーネットサイトの状況は、「中古車登録台数:55万6613台」「ID車両(プロによる厳しいチェックを受け、その結果が開示されている)登録台数:24万4013台」「オンライン商談が可能な台数:29万9940台」「国産(メーカー別)台数:47万6683台」「輸入中古車台数:7万9930台」。かつ「ボディタイプ別」「価格帯別」「走行距離別」「乗員定数別」etcと、詳細な情報別の掲載がなされている。

 至25年3月期の中計は、「売上高1250億円(22年3月期比2.18倍)、営業利益100億円(55.7%増)」が目標値として掲げられている。かつ「時価総額1000億円(2.3倍)」が標榜されている。発行済み株数に変化がないとすれば、株価は2倍強に・・・という次第だ。

 が中古車市場に関しては、必ずしも耳さわりの良い話ばかりは聞かれない。中古車オークション運営最大手のユー・エス・エス(東証プライム&名証プライム)では、「3月の中古車の平均落札価格は前年同月比1.5%低下。2カ月連続前年同月を下回った。正常化しつつある」としている。また、こんなデータもある。「国内各社・輸入各社の22年度の中古車の平均価格は、前年度比4.7%の低下」。

 周知のように「コロナ禍⇔半導体不足⇔物流停滞」で、「新車の品不足⇔新車価格を上回る中古車価格」といった報道がなされた。がいま、そうした環境の改善が進み始めている。その影響が中古車市場に出始めていることは否定できない。

 確かに、プロトコーポレーションには中古車販売市場で差別化要因を有している。中古車販売店の取引店舗数で、約6割のシェアを占めている。

 変化を見せ始めている市場環境vs足元・中計を、株価はどう映し出しているのか。本稿作成中の時価は1100円台前半。予想税引き後配当利回り2.46%余。1月高値(1274円)から5月安値(1087円)まで押した後の小戻し場面。信用の取引倍率も33倍近く。判断の下しづらい状況にある!?(記事:千葉明・記事一覧を見る

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