飲食業の倒産、2023年上半期は過去30年で最多に 原材料高や人手不足影響

2023年7月7日 08:16

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 東京商工リサーチが2023年上半期における飲食業者の倒産動向を発表。新型コロナウイルスの対策が終了したところに原材料や光熱費の値上がり、さらに人手不足が原因となり、個人事業者や小規模な業者で倒産件数が急増したことが分かった。

【前年同期は】飲食業の倒産件数、2022年上半期は過去20年で最少に コロナ原因の割合は増加

■上半期の倒産件数が過去30年で最多に

 6日、東京商工リサーチが2023年上半期(1~6月)の「飲食業の倒産動向」調査を発表した。同期間における飲食業の倒産件数(負債1,000万円以上)は前年同期比78.9%(187件)増の424件。過去30年間で最も倒産件数が多かった2020年上半期の418件を超えて、最多件数となった。

 このうち新型コロナ関連の倒産件数は288件となり、同104.2%(147件)増。倒産件数全体に占める新型コロナ関連の倒産件数の割合は67.9%で、22年上半期の59.4%から8.5ポイント増加した。

 新型コロナ関連の給付金や協力金などの支援策が終了したところに、原材料や光熱費の値上げ、人件費の上昇により苦境に陥る企業が増えている。さらに新型コロナが鎮静化して来店客が増加したものの、人手を確保できないことで機会損失にもつながっている。このペースが続くと、年間では過去最高だった2020年の842件を超える可能性もある。

■宅配飲食サービス業の倒産件数は前年の3倍超

 業種別では、10業種中9業種で倒産件数が前年同期を上回った。その中でも食堂・レストラン(倒産件数:110件、前年同期比:115.7%増、以下同じ)、専門料理店(93件、97.9%増)、持ち帰り飲食サービス業(19件、137.5%増)、宅配飲食サービス業(31件、210.0%増)で大きく増加した。

 唯一減少した業種はすし店(7件、30.0%減)だった。また倒産件数では、酒場・ビヤホール(90件、47.5%増)も多かった。

 倒産件数における新型コロナ関連の倒産割合が多い業種は、そば・うどん店(新型コロナ関連倒産の割合:85.7%、以下同じ)、酒場・ビヤホール(81.1%)の2業種で8割を超えている。

■東京都など34都道府県で倒産が増加

 都道府県別で倒産件数が最も多かったのは東京都の60件。ついで大阪府が53件、愛知県が38件、兵庫県が24件、福岡県が21件、神奈川県が19件、北海道が15件などと続いている。それらを含めて34都道府県で前年同期を上回った。

 前年同期を下回ったのは、京都府(倒産件数:12件、以下同じ)、埼玉県(6件)、長野県(3件)、岐阜県(1件)、沖縄県(1件)、鳥取県(0件)の6府県。前年同期と変わらずだったのは和歌山県(4件)、山形県(3件)など7県。

 倒産の原因で最も多かったのは「販売不振」で350件。ついで「既往のシワ寄せ」が25件、「他社倒産の余波」が21件など。

 資本金別では個人企業を含む資本金1,000万円未満が364件で、倒産件数全体に占める割合は85.8%となっている。その内訳で最も多かったのは100万円以上500万円未満が172件、ついで個人企業他が118件、500万円以上1,000万円未満が39件、100万円未満が35件だった。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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