20億年前は1日が19時間だった 10億年間変わらず  中国科学院の研究

2023年6月14日 08:47

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 1日が24時間であることは常識だが、地球の歴史をさかのぼればさかのぼるほど、1日の長さは現在よりも短かった。地球が誕生して間もないころには、1日は6時間しかなかったという説もあり、地球の自転周期は誕生間もないころから現在にかけて、継続的かつ緩やかに長くなってきたと考えられがちだ。

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 だが、この考えは間違いらしい。中国科学院の研究によれば、今から約20億年前の地球の自転周期は19時間ほどしかなく、それ以降約10億年間は、1日が19時間しかない時代が続いていたのだという。今回の研究の詳細は、6月12日付けの「Nature Geoscience」に掲載されている。

 10億年間もの長きにわたり、地球の自転周期が19時間を保っていた原因は、太陽エネルギーによる大気熱潮汐の加速トルクが、月の海洋潮汐減速トルクと釣り合っていたためだ。

 つまり太陽熱が大気循環に影響をおよぼし、自転速度を加速させる効果と、月の引力が潮の満ち引きに影響を与え、自転速度を減速させる効果が、偶然にも約10億年もの間一致していたというのが研究の結論だ。しかもこの10億年間は、退屈な10億として知られる生物学的進化の期間と一致するという。

 退屈な10億年間に地球環境では大きな変化が起きていた。それは酸素量の上昇だ。この間の酸素上昇をもたらしたのは植物ではなく、光合成細菌の活動によるものだ。

 光合成細菌が活発な活動を開始するまでには、長い日照時間を要する。つまり1日の時間が短い時代には、酸素の生成があまり活発にならず、酸素量の上昇は非常に緩やかだった。だが1日の長さが19時間にまで伸びたことで、光合成細菌の活動が活発になり、地球に酸素上昇がもたらされたのだ。

 今から20億年ほど前、地球上で酸素上昇の10億年にもおよぶ長期トレンドが始まったころ、真核生物が誕生している。例えば動物の祖先がミトコンドリアを取り込んで真核生物となったのも、植物の祖先が葉緑体を取り込んで真核生物となったのも、この時代の出来事である。

 もしもこのような地球の自転周期の変化がなかったら、動物も植物も誕生しなかったかもしれないのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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