5月の倒産件数、14カ月連で続増 コロナ関連や物価高影響 東京商工リサーチ

2023年6月11日 06:54

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 東京商工リサーチは8日、5月の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)が706件に達したと発表した。

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 2022年4月より14カ月連続で前年同月を上回り、2023年は5月までの累計が2022年の6月までの累計を超えた。新型コロナ関連の倒産が前年同月の1.5倍となる291件発生するなど増加が目立ち、中でもゼロゼロ融資利用後の倒産が増えている。また、建設業などで物価高による倒産も急増している。

 「ゼロゼロ融資」は、新型コロナウイルス禍で業績の悪化した企業が実質無利子・無担保で融資を受けることのできる仕組み。2020年3月に始まり、2022年12月末までに約249万件が実行された。

 このうち政府系金融機関による融資の返済は既に大半がスタートしている。一方、民間銀行による融資の返済は、中小企業庁によれば、2023年7月から2024年4月にピークを迎える予定で、中小企業の資金繰り悪化が懸念されている。

 かかる状況下、東京商工リサーチが8日、5月の全国企業倒産状況を発表した。単月の倒産件数は706件に達し、14カ月連続で前年同月を上回った。14カ月連続は、1952年の集計開始以来で11番目の長さ。コロナ関連と物価高による倒産が目立つ。

 コロナ関連の倒産は291件と、3月の318件に次ぐ過去2番目の多さで、前年同月から50.7%増えた。うちゼロゼロ融資利用後の倒産は58件で、2022年3月より増え始め、10カ月連続で40件を超えた。

 ゼロゼロ融資はコロナ後に中小企業の資金繰りを支えたが、政府系金融機関に加え民間銀行が幅広く実行し、過剰債務状態に陥った企業も多く、返済開始が進む中で資金繰りを圧迫している。

 また物価高による倒産は58件と、3月の59件に次ぐ2番目の多さで、前年同月の約3倍に達した。ロシア・ウクライナ情勢以降に建築資材や燃料代が高騰した影響もあり、産業別では建設業の倒産が最多。円安の影響から各種原材料価格も上昇しており、一方で中小中堅企業の多くは価格転換が追いついておらず、製造業やサービス業を含め広い産業に影響が出ている。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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