EU、エンジン車の販売を条件付きで2035年以降も認めることでドイツと合意

2023年3月27日 16:59

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記事提供元:スラド

EUは2035年までにハイブリッド車を含むエンジン車の新車販売禁止を目指していたが、ドイツやイタリアなどの反対が出ていたことからその方針を転換したようだ。EUの欧州委員会とドイツ政府は25日、2035年以降も条件付きで内燃機関車の新車販売を認めることで合意した。EV導入を主導してきたEUの政策方針が大きく転換することとなった(NHK時事通信ロイター日経新聞)。

なお温暖化ガスを排出しない合成燃料を使う場合のみ販売を認める方針だという。ロイターが報じた草案によれば、対象となる合成燃料はカーボンニュートラル(CN)燃料である水素と二酸化炭素(CO2)による合成液体燃料「e-fuel」を利用する製品であるようだが、時事通信によると合意の具体的な内容は明らかになっておらず、今後、他の加盟国も交えた正式な手続きの中で示される見通しだという。

あるAnonymous Coward 曰く、 Euro7でエンジン車の新車販売の実質的な禁止を目指していたEU(ヨーロッパ連合)は、二酸化炭素の排出が実質ゼロとされる合成燃料の使用を条件に販売の継続を認めることで域内最大の自動車生産国のドイツと合意した。

合成燃料はCO2(二酸化炭素)とH2(水素)を合成して製造される複数の炭化水素化合物の集合体で、CO2はカーボンリサイクルでH2は再生可能エネルギーで水電解を用いることで排出は実質ゼロという理論である。しかし合成燃料はガソリンの2〜5倍と高額で、船舶・航空など限定的な利用にとどまる公算が大きいと見込まれている。もし合成燃料という条件の合意が取れなかった場合は車両価格が上昇し、VWポロのような小型車の販売が成り立たなくなる恐れがあるとして警鐘を鳴らしていた(資源エネルギー庁日経新聞)。

大型車はコスト増を反映できるものの、コストを切り詰めた小型車の価格上昇は顧客離れを招くと想定しているのだろう。Audi A1やベンツAクラス廃止という情報があり、EV化には採算が見込めない小型車を廃止し高価格帯へとシフトせざるを得なくなったら庶民は自転車で移動に限られてしまうのだろうか(AUTOCAR JAPANレスポンスAUTOCAR JAPANその2)。

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