関連記事
日本郵政によるゆうちょ銀行株売却、その狙いは?
(c) 123rf[写真拡大]
●日本郵政がゆうちょ銀行株を売却
日本郵政は2月27日、ゆうちょ銀行株の一部を3月に売却すると発表した。出資比率は現在の89%から65%未満になる見込みとしており、売却価格は未定だが、規模は1兆円程度になる可能性がある。
【こちらも】低PBR企業が狙い目か!?
発表を受けて、ゆうちょ銀行株は一時5%近く上昇する場面もあった。対して、日本郵政株は軟調だった。鳴り物入りで2015年に上場した郵政3社だが、株価は右肩下がりで、期待を裏切っている。
日本郵政のゆうちょ銀行株の狙いはなんだろうか?
●日本郵政とゆうちょ銀行
2005年に郵政民営化法案が可決され、2007年から民営会社として日本郵政はスタートした。現在は日本郵政の傘下として、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社がある。
傘下の3社は、2015年11月に東証1部(当時)に上場した。売り出し額は3社で1兆4000億円に上り、時価総額もソフトバンクを超える12兆円と、21世紀最大の新規上場案件とも言われた。
ゆうちょ銀行の総預金残高は約190兆円で国内1位となっている。だが1999年代のピークからは3割近く減少している。
2021年からは日本郵政グループと楽天グループが資本・業務提携をしている。
●売却の狙いは?市場全体への影響も
そもそもゆうちょ銀行の流通株式がわずか11%というのは、東証プライムの上場要件(時価総額の35%以上)を満たしていない。特例扱いで上場が認められているが、流通比率を高める必要があり、今回の売却で上場要件の35%を超える。
まずは東証プライムの上場要件を満たす必要があった。
今回の売却は1兆円規模の大型案件となる。売り出し価格は3月中旬にも決定するとみられる。
ゆうちょ銀行株を買うための資金確保として、機関投資家は他の銘柄を売却することが考えられる。売り出しの前後に株式市場全体が下落することにも警戒が必要である。
日本郵政では、2025年までにさらに保有割合を下げることを目標としており、今後もゆうちょ銀行株の行方には注目しておきたい、(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク