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エネルギー商社:シナネンがシェアサイクル事業に進出した、機を見るに敏な理由
シナネンが展開するシェアサイクル「ダイチャリ」は、2022年7月1日から神奈川県川崎市と提携し、同市内で事業の展開を開始した(画像: シナネンホールディングスの発表資料より)[写真拡大]
シナネンホールディングス(東証プライム。以下シナネン)。LPガスや灯油等を主体とする、BtoC&BtoB双方を手掛ける、エネルギー商社。
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投資雑誌:株主手帳から、Zoom取材の誘いを受けた。登壇人物は間所健司取締役。参加した。最大の理由は「事業の多様化」に積極的な姿勢を示している点だった。とりわけ2017年に参入した『シェアサイクリング事業』に「何故」という興味を覚えたからだ。エネルギー商社が自転車関連事業参入とは、なんとも唐突過ぎるではないか!?
間所取締役はまず、「実はオイルショックの折に、タンカーに乗せて運んでくるものがなかったもので」と切り出した。「?」。「ちょうど日本でも健康を意識したサイクリングブームが起こっていた。積んで帰ってくるものがないなら自転車を輸入して売ろうとなった(現在は海外での生産も行っている)」。
なんとも付け焼刃!?―が世の中は、なにが幸いするか分からない。ソフトバンクが自転車のシェアビジネスを行っていた。業務関係を結び2017年に、シェアサイクル事業に進出した。結果はどうだったのか。
今3月期の中間期、シナネンの営業利益は前年同期比8億2000万円の減少。しかし非エネルギー事業の一角を担うシェアサイクル事業は1億8000万円の利益を計上している。間所氏は「開始から5年、国内トップクラスの規模に拡大に」、とデータを示した。
2020年7月に累計ユーザー数20万人突破。21年7月、ステーション数2000カ所突破。22年1月、累計利用回数1000万回突破。22年2月、自転車導入台数1万台到達。中間期時点の利用者数は前年同期比57.3%増の56万人。利用回数は42.4%増の215万回。
電動アシスト自転車も導入しているが「バッテリー容量の増加で、約100kmの走行が可能」、「バッテリーは災害時にはスマホの充電等に活用可能」。
営農型太陽光発電事業にも参入、と公にしている。「多様化の取捨選択も必要ではないか」という質問があった。間所氏は正直だった。「ご案内かとは思いますが、失敗した多様化もある。ご指摘は真摯に受け止める」とした。
記してきたような側面を持つシナネンを、株式投資の対象とした場合どうか。「配当性向30%を基本にしている」としている。取材時の予想税引き後配当利回り1.7%。過去10年間の株価動向を修正値ベースで捉えると、パフォーマンスは約84%。取捨選択に基づいた多様化もまた、企業経営に必要な施策と考えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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