朝日ラバーは23年3月期3Q累計減益、通期予想を下方修正

2023年2月13日 10:48

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は2月10日取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーが好調だったが、主力の自動車向けゴム製品が自動車生産低迷の影響を受け、さらにエネルギーコストの上昇や販管費の増加なども影響して減益だった。通期予想は下方修正して減益幅が拡大する見込みとした。自動車用ASA COLOR LEDが第4四半期も自動車生産低迷の影響を受ける見込みだ。今後はエネルギーコスト上昇に対する価格転嫁交渉と、生産現場でのエネルギーコスト削減を進める方針としている。積極的な事業展開で24年3月期の収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く昨年来安値圏でモミ合う形だ。23年3月期減益予想を織り込み済みであり、下方修正に対するネガティブ反応は限定的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。

■23年3月期3Q累計減益、通期予想を下方修正

 23年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比3.6%増の54億70百万円、営業利益が18.1%減の2億12百万円、経常利益が17.2%減の2億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.2%減の1億71百万円だった。

 医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーが好調だったが、主力の自動車向けゴム製品が部材調達難に伴う自動車生産低迷の影響を受け、エネルギーコストの上昇や、営業販売力や技術サービス力の向上に向けた人員強化に伴う販管費の増加なども影響して減益だった。売上総利益は5.5%増加し、売上総利益率は25.0%で0.5ポイント上昇した。原価改善効果などが寄与した。販管費は11.4%増加し、販管費比率は21.1%で1.5ポイント上昇した。

 工業用ゴム事業は売上高が0.3%増の44億08百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が19.5%減の3億57百万円だった。売上面では卓球ラケット用ラバーが好調に推移し、RFIDタグ用ゴム製品も受注が回復傾向となったが、主力のASA COLOR LEDなどの自動車向けゴム製品が自動車生産低迷の影響を受けたため、全体として小幅増収にとどまった。利益面はエネルギーコストの上昇や販管費の増加などで減益だった。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が20.2%増の10億62百万円、セグメント利益が61.6%増の1億04百万円だった。通常の医療活動が回復傾向となったため在庫調整が終息し、ディスポーザブル用ゴム製品(プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓など)の売上が増加した。

 なお中期事業分野別の売上高は、光学事業(ASA COLOR LEDなど)が13.6%減の20億52百万円、医療・ライフサイエンス事業(ディスポーザブル用ゴム製品など)が21.9%増の11億円、機能事業(自動車スイッチ用ラバーや卓球ラケット用ラバーなど)が11.6%増の17億98百万円、通信事業(RFIDタグ用ゴム製品など)が33.6%増の5億18百万円だった。

 国内・海外別の売上高は国内が2.8%増の41億15百万円、海外が6.2%増の13億55百万円(アジアが6.7%増の12億58百万円、北米が2.6%増の88百万円、ヨーロッパが15.3%減の8百万円)だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が17億54百万円で営業利益が70百万円、第2四半期は売上高が18億24百万円で営業利益が65百万円、第3四半期は売上高が18億92百万円で営業利益が77百万円だった。

 通期連結業績予想については2月10日付で売上高、利益とも下方修正して、売上高が22年3月期比1.5%増の71億27百万円、営業利益が36.5%減の1億85百万円、経常利益が39.3%減の1億90百万円、親会社株主帰属当期純利益が38.3%減の1億47百万円としている。配当予想は据え置いて22年3月期と同額の20円(期末一括)としている。

 前回予想に対して、売上高を3億27百万円、営業利益を70百万円、経常利益を61百万円、親会社株主帰属当期純利益を40百万円、それぞれ下方修正した。医療用ゴム製品が好調に推移するが、自動車用ASA COLOR LEDが第4四半期も自動車生産低迷の影響を受ける見込みだ。

 修正後のセグメント売上高の計画は、工業用ゴム事業が2.1%減の57億10百万円(前回予想の61億80百万円から4億70百万円下方修正)で、医療・衛生用ゴム事業が18.8%増の14億17百万円(同12億74百万円から1億43百万円上方修正)としている。また中期事業分野別には光学事業が17.0%減の25億75百万円、医療・ライフサイエンス事業が17.8%増の14億51百万円、機能事業が14.0%増の24億57百万円、通信事業が21.1%増の6億44百万円としている。

 23年3月期は下方修正して減益幅が拡大する見込みとなったが、今後はエネルギーコスト上昇に対する価格転嫁交渉と、生産現場でのエネルギーコスト削減を進める方針としている。積極的な事業展開で24年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く昨年来安値圏でモミ合う形だ。23年3月期減益予想を織り込み済みであり、下方修正に対するネガティブ反応は限定的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。2月10日の終値は520円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS32円40銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1030円86銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約24億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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