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恒星誕生プロセスをダイナミックに捉えることに成功 九大らの研究
アルマ望遠鏡観測から得られた OMC-2/ FIR 3 および FIR 4 領域の電波画像 Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), A. Sato et al. 2023[写真拡大]
冬の夜空を彩るオリオン座の大星雲M42は、位置の確認だけならば肉眼でも容易で、比較的小さな望遠鏡でもその雄姿を眺めることができる。実はそこには恒星のゆりかご(天文学者らはこの領域をオリオン座分子雲複合体と呼んでいる)が広がっており、その大きさは25光年にも及ぶ。
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この領域は、地球からおよそ1400光年の位置にあり、広大な宇宙の中では比較的地球の近くにある。それでも太陽系内の惑星を観測することと比較すれば、きわめて遠く、地球からそこで起きつつある現象の詳細を捉えるのはこれまで不可能であった。そこにある恒星をどんなに拡大したとしても、その像は点にしかならないのだ。
九州大学らの研究グループは、1つの恒星ではなく、その領域に広がっている星間ガスの動きを捉えることに着目し、ダイナミックに恒星が形成されつつある状況を捉えることに成功したと発表した。
発表によれば、原始星が噴出している分子ガスの流れは、原始星の大きさの100万倍もの広がりを持っているという。そのため点象としてしか捉えることのできない原始星と比べて、分子ガス流を捉えることは、地球からでも可能だ。
ただし従来は、望遠鏡の解像度が及ばず、この種の観測は不可能とされてきた。これが可能になったのは、口径12メートルと7メートルの合計66台のパラボラを組み合わせ、ミリ波やサブミリ波という波長の短い電波で天体を観測するアルマ望遠鏡が、2013年に本格稼働運用開始したためである。
今回の研究では、アルマ望遠鏡により、オリオン座分子雲複合体にあるOMC-2内のFIR3およびFIR4と呼ばれる領域の塵、一酸化炭素(CO)、一酸化ケイ素(SiO)の分布を調査。従来観測された量の2倍の分子流を捉えることに成功したという。
さらに塵とCOとSiOの分布から、FIR3領域中の原始星から噴き出た巨大分子流が、若い星が密集するFIR4領域に激しく衝突していることも発見した。これらの成果は、恒星誕生プロセスでどんな現象が起きているのかを解明するのに大いに役立つだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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