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ベネズエラの制裁緩和、原油価格への影響は?
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●シェブロンがベネズエラでの産油量増加
ロイター通信によると、米国石油大手のシェブロンは、米国の制裁緩和により、南米ベネズエラにおける短期での産油量が日量5万バレル増となったという。
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米国政府は2022年11月26日にベネズエラへの制裁を一部緩和しており、シェブロンは12月から約4年ぶりにベネズエラから原油を出荷した。
米国政府が認可したシェブロンによる採掘事業の再開は6カ月間の期限付きであり、ベネズエラのマドゥロ政権による公正な選挙の実施などといった条件もあり、予断を許さない。
ベネズエラへの制裁緩和は、ウクライナショックで原油が高騰した時にも、価格抑制の手段として期待されていたが、今では状況が変わっている。
ベネズエラの動向が原油価格に影響を与えるのだろうか?
●ベネズエラ経済制裁
ベネズエラは、原油埋蔵量3038億バレルと、世界最大とも言われている。
2000年初頭のチャベス政権から米国との関係が悪化。2017年から後を引き継いだマドゥロ政権には金融制裁が行われ、米トランプ政権により2019年から原油の輸入も制限されている。
経済制裁と政治の混乱により、ハイパーインフレとなって大混乱に陥り、700万人以上のベネズエラ人難民が国外へ退去したと言われている。
バイデン政権になってから、マドゥロ大統領との対話を再開している。
●ベネズエラの本格復帰は?
ベネズエラは米国と敵対するイランとの関係も強化している。
軍事的な結びつきも強く、ロシアのウクライナ侵攻にもイランが関わっているとみられ、ベネズエラの間接的な影響も否定できない。
外交的な対立は一筋縄ではいかず、再び米国がベネズエラへの制裁に踏み切る可能性も否定できない。
埋蔵量は世界一とも言われるベネズエラではあるが、1990年以降汚職や国有化などの失敗で、製油所や技術者不足が深刻となり、原油価格に影響を与えるまでの生産能力かと言われれば疑問符が付く。
シェブロンの再開もとりあえず6カ月の期限付きであるため、市場は様子見であろう。
再び原油価格が高騰するような場面がない限りは、ベネズエラの存在感はそれほど大きくないのかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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