差別化で収益基盤を着々と強める、ファーストロジック:楽待の今

2023年1月16日 17:27

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「楽待」のサイトイメージ。(画像: ファーストロジックの発表資料より)

「楽待」のサイトイメージ。(画像: ファーストロジックの発表資料より)[写真拡大]

 ファーストロジック(東証スタンダード)。投資用不動産サイト「楽待」を展開している。登録物件数は業界最多とされる。

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 いまファーストロジックがどんな状況にあるか、改めて調べて見た。2022年7月期は「9.3%増収、25.3%営業増益、37.8%最終増益、1円増配11円配」、そして今7月期計画は「6.6%の増収(20億円)、3.6%の営業増益(10億5000万円)、最終増益率は変わらず(6億8600万円:史上最高益)、2円増配13円配」。収益規模云々ではない。例えば営業利益が10億円台に達してきたことを、評価したい。

 新たな収益域に居所を変えてきた背景には、差別化戦略がある。

 創業時にも既に不動産ポータルサイトして「スーモ」「アットホーム」があった。が、楽待は同様の枠組みでは参入しなかった。一口で言えば、「具体的な物件情報は一切なし」というサイトとして立ち上がった。

 投資家(ユーザー)はまずサイトに、自身の属性や希望物件の条件を入力する。個人名・連絡先が伏せられデータベースに登録される。それを閲覧した不動産会社は、「これなら」と思う物件を提案する。ユーザーは興味を持てば『問い合わせ』、なければ『お断り』と回答する。問い合わせの場合のみ、不動産会社に投資家の連絡先が表示される。後の交渉と楽待は一切関与しない。加盟不動産会社の広告が収入源。

 21年3月末で加盟不動産数:4400社、登録投資家数:168万人。

 ベースとなった差別化戦略の拡充が、収益力を高めている。前期末段階でファーストロジックではこう発信している。

★楽待プレミアム、をリリースした。投資家向けの定額(月額3300円)課金サービス。会員限定の動画・記事を提供が軸。合わせて、登録会員は専用アプリやウェブサイトでサービスが受けられる。当該不動産の積算価格やキャッシュフローを簡単に計算し、投資をした場合のシミュレーションも可能になる。アプリ上の地図に触れるだけで興味あるエリアの路線価も確認できる。

★楽待公式Youtubeチャンネル(登録会員数39万人超)。不動産投資情報を配信。相談者用の「楽待不動産投資相談室」につなぐ。

 いかに投資家層を増やすかの施策が、常に講じられている。

 本稿作成中の時価は800円台終盤。予想税引き後配当利回り1.2%。新たな収益状況に歩を進めたいま、10万円弱で単元株株主になるのも一法か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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