三菱マテリアル、クラウド型歯科検診サービス開始へ 23年度に50億円目指す

2022年12月12日 17:03

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「スマート歯科健診」のスマートフォンサイト画面(画像: 三菱マテリアルの発表資料より)

「スマート歯科健診」のスマートフォンサイト画面(画像: 三菱マテリアルの発表資料より)[写真拡大]

 三菱マテリアル(東京都千代田区)は9日、クラウド型歯科検診サービスの提供検討を開始したと発表した。健康保険の運営者向けに事業化を目指す。同社にとって医療分野での本格的取り組みは初めての試みであり、2023年度中に年間売上高50億円を目標にしている。

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 口腔内をデジタルデータ化し、3Dモデルで確認できるもので、サービス名称は「スマート歯科検診」。受診者はスマートフォン上で歯茎や歯の3Dモデルを回転させたり拡大させ、これまで直接確認することができなかった自身の口腔内を、隅々まで確認できる。歯科医師もデータを用いて適格なアドバイスができるようになる。

 三菱マテリアルでは、これまで複数の健康保険組合向けに歯科検診サービスを試験的に提供。受診者から「歯科医院を受診したくなった」「歯の3Dモデルに感動した」などの意見が集まったと言う。歯科医院を受診するという行動変容も見られた。

 同社は切削工具を製造販売している。歯の被せ物は詰め物、整形外科向が人工関節などを製作するためのものだ。歯科検診サービスは、こうした既存事業との相乗効果も期待できる。

 医療をはじめとしたヘルスケア関連領域は今後も成長が込まれる。中でも歯科検診に関しては、政府が全国民の歯科検診受診を目指す「国民皆歯科検診」の導入を検討している。歯周病が脳卒中や心臓病、アルツハイマーなど深刻な病気を誘発する可能性があると最新の研究で明らかになったためだ。

 三菱マテリアルは歯科検診サービスの事業化で、歯科医院や歯科検診の受診率向上に寄与したい考えだ。今後はシステム開発を進め、日本歯科衛生協会との協業も行う方針。2023年度中に事業化を行い、年間売上50億円の早期達成を目指す。

 なお、スマート歯科検診の受診の流れは以下の通り。スマホ上で問診票を記入し、会場で歯科衛生士が口腔内をスキャン。医師が確認して健診結果を記録する。受診者はスマホから3Dモデルや写真、医師の診断が確認できる。歯科医師へのオンライン相談も行える。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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