コロナ禍でもアニコムHDは増収増益継続、ペット市場の強さを再認識した

2022年11月15日 09:09

印刷

画像はイメージです。

画像はイメージです。[写真拡大]

 過日TVで、『猫の駅長:りょうま、を偲ぶ』といった内容のニュース番組を目にした。JR芸備線・志和口駅(広島県安佐北区)に2012年に突如現れ、人々に可愛がられ「駅長」となった。乗降客500人の小さな駅を盛り上げた猫(2019年死去:虹の橋を渡った)である。

【こちらも】コロナ下でも伸びたとされる、ペット市場の現実

 この手の話を目に耳にすると、ペットの話を書きたくなる。新型コロナ禍の中、ペット達はどんな状況だったのか。今年3月11日に経産省から『ペット産業の動向~コロナ禍でも堅調なペット関連産業~』と題する資料が配信されている。要約するとこんな内容だ。

(I)コロナ禍でもペット・ペット用品の販売額は堅調。
(II)家計のペット向け支出額は拡大傾向。
(III)受診控えなどの影響はわずかで、高水準維持のペットクリニック。

 とりわけIIIに興味を惹かれた。動物病院では業界首位のアニコムホールディングス(東証プライム。以下、アニコムHD)の収益状況から確認してみようと考えた。

 2021年3月期の経常利益は26.0%増。前期も14.8%増。そして今期も「7.5%増収(570億円)、15.3%経常増益(36億5000万円)、16.7%最終増益(24億6400万円)」計画で始まり、第1四半期を前年同期比「5.2%増収、11.5%経常増益、2.2%最終増益」で通過している。

 斯界に詳しいアナリストは「アニコムHDは図抜けている。主力のアニコム損保を約2000のペットショップで取り扱っているし、ソニー損保以下の有力代理店も有している。獣医100人以上を抱えている。中小病院の場合は収益動向が把握できないのが現状だから」とするが・・・

 前期の決算資料を覗いてみた。以下のような記述が目を引く。

★ペット保険の保有契約件数: 102万8831件。2021年期末比11.6%増。

★E/I損害率(発生ベースの損害率): コロナウイルスに伴う飼い主の行動への影響が、出尽くし安定化。58.1%と0.3pt低下。

★どうぶつ健活(腸内フローラ測定+健康診断): 36.7%増、1.0pt改善。

 儲かっていると、受け止めざるをえない。またその業務範囲拡充に手を打っている。例えば、「避けられる遺伝病を親と子の遺伝子検査によって回避する施策を」。例えば「再生医療のセルソースと提携、人間の再生医療の知見を活かした動物向け治療の開発を」と、いった具合。

 時価は年初の836円から600円~700円水準と揉み10月に534円で底入れ、反発基調。IFIS目標平均株価840円という状況。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事