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M&Aキャピタルの「これまで・現状・今後」を俯瞰する
M&Aキャピタルパートナーズ(東証プライム。以下、M&Aキャピタル)。「着手金ゼロ:成果報酬制」「専任担当コンサルタント制」を採用する、独立系M&Aコンサル・仲介企業。現社長:中村悟氏の手で、2005年10月に設立された。
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中村氏は積水ハウス出身。その営業職時代の8年余に、土地オーナーから所有する企業や店舗の継承・譲渡について相談されるケースが多く、これを契機にM&Aに興味を抱いたと言う。そうした体験の積み重ねが「中堅中小企業の継承問題を解決したい」という思いの膨らみに繋がり、起業の背中を押された。
8年後の2013年11月、東証マザーズ(現、東証グロース)に上場。この限りでは「後継者問題」という時代の流れを着実に捉えた起業、成長企業の階段を順調に駆け上がってきたと言える。が、中村氏自身が自著『M&Aで創業の志をつなぐ』(日経BP刊)で語っているように「当初は倒産と背中合わせに陥ったこともある」と言う。そうした状況を潜り抜けることも、成功する起業家の要因であると捉えられる。
M&A仲介業界にあってM&Aキャピタルがどんな評価を得ているかは、東京商工リサーチの調べ(2022年3月末時点)でも明らか。斯界を推し測る時に主要とされる「認知度」「支払手数料率の低さ」「取扱案件の平均譲渡価格」「法令遵守イメージ」「コンサルタント1人あたり売上高・経常利益」の5部門で、業界NO1の評価を受けている。
また、人の褌で相撲を取るようで恐縮だが・・・私は中堅企業(売上高300億円以下)の「稼ぐ力」を測る物差しとして日経新聞が活かしている「売上高純利益率(3カ年平均)」を、拝借している。平均30~40%が「力のある企業」。M&Aキャピタルの直近発表の2022年9月期までの3期間の平均値は、30.0%。
ちなみに前9月期は「稼ぐ力」を、いやというほど見せつけられた。期初予想は「7.0%の増収、3.8%の営業増益、5.3%の最終増益」とソロリと立ち上がったが、9月に「26.4%増収、34.6%営業増益、41.7%最終増益」に上方修正。
「大型案件の成約件数が期初想定を上回ったため」と説明したが、並行して「第4四半期の大型案件の積み上げを見込んでいる」ともしていた。結果、期末の本決算は「36.6%増収(207億600万円)、47.8%営業増益(97億1300万円)、57.6%最終増益(67億9400)」。担当者は、「公開情報を見る限り、大型案件(成約手数料1億円以上)でも当社は業界首位」とした。
中小企業庁によるとM&A支援機関(FAを含む)の登録数は約2700に及ぶと言う。そうした現状下でM&Aキャピタルの強みはグループ力が挙げられる。日本のM&A仲介の先駆者と言えるレコフなど、複数の有力業者を傘下に収めている。
ところで同社は依然、無配。担当者は「未だ内部留保優先」とした上で、「海外市場の展開を視野に入れ、クロスボーダーM&Aを行う業者のM&Aを検討予定」とした。
仮に上場時の初値で株を買い9年間保有していると、分割等を勘案した修正値ベースで5倍近いパフォーマンスを残している。注目を怠れない1社と言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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