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骨なし魚:大冷は、「骨のある企業」である!
大冷(東証スタンダード)。業務用冷凍食品の企画・開発・製造販売を手掛けている。1972年に故安楽修氏が個人事業として興した。そんな大冷の存在を世に広く知らしめたのは、1998年の「楽らく骨なし魚(シリーズ)」の開発。また2009年の解凍しない状態で調理ができる「楽らくクイック(シリーズ)」も、市場に強いインパクトを与えた。
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骨なし製品は昔からあった。だが今日の「骨なし」ブームを引き起こしたのは、大冷の「骨なしたちうお」の開発が契機だ。
一人の開発スタッフの「広範な人々に貢献できる商品を作りたい」という10年余の情熱がその背景にあった。それが長らくの試行錯誤の支えとなった。天に通じたと言うべきか。
「高齢者に優しい魚製品が欲しい」という医療現場と巡り合い、商品化された。楽らくクックも、然り。顧客の「骨なし魚を冷凍のまま焼けないものだろうか」という一言が開発者に、ある技術を閃めかさせた。開発・技術・生産各部門の社員が一丸となり商品化に漕ぎ着けた。
大冷は『冷凍骨抜き魚身およびその加工方法』や、『凍ったまま調理できる冷凍魚の製造方法および冷凍魚』をはじめ、5つの特許を有している。
病院食に端を発した骨なし魚はいま、ホテル・レストラン・産業給食・学校給食・惣菜・弁当・介護食など幅広い市場で活かされている。魚は低脂肪・良質動物性タンパク質など栄養素に富んでいる。だが「骨が・・・」という人が多いのも事実。
大冷はファブレス企業。タイ・ベトナムの工場などで、骨を取り除く作業から全てを担っている。読者諸氏も私同様、「骨はどうやって取り除いているのか」「鱗も落としているのか」「目切れしないのか」「生産拠点の安全性は」「骨を取る工程を経ることで鮮度は保てるのか」「魚の結着はどうやっているのか」などが頭を過ぎる筈。
ホームページに端的に記されている。ご一読頂きたい。ちなみに骨なし魚は残骨検査を、エックス線でチェックされている。
主力の『骨なし魚事業』は「骨なし魚シリーズ」「楽らくクックシリーズ」「楽らく調味シリーズ」「骨取り魚シリーズ」のセグメントに分かれるが、順調な収益動向を示している。前3月期の「2.0%増収、9.5%営業増益」に続き今期も、「8.9%増収(250億円)、10.0%営業増益(11億5000万円)、10円増配65円配」計画。第1四半期は前年同期比「14.3%増収、51.3%営業増益」で通過している。
骨は取っても「骨抜きにはならない企業」である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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