NASAの探査機DART、小惑星ディモルフォスに衝突成功 小惑星衝突阻止の試み

2022年9月28日 07:55

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小惑星ディモルフォスに衝突する前のDARTのイメージ。 (c) NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben

小惑星ディモルフォスに衝突する前のDARTのイメージ。 (c) NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben[写真拡大]

 NASAの探査機DART(Double Asteroid Redirection Test)は26日(日本時間27日)、小惑星ディモルフォスヘの衝突実験に成功した。DARTはNASAが2021年11月24日に打ち上げた探査機で、地球に衝突する脅威がある小惑星の軌道を変えさせ、そのリスクを回避させるための実験を目的としていた。

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 小惑星ディモルフォスは、直径約160mで兄弟星である小惑星ディディモス(直径約800m)を約1.18km離れて周回している。DARTは質量が約500kgで、ディモルフォスを標的とした自律誘導を行い相対速度秒速6kmで直撃する使命を帯びていた。今回、その予定通り衝突に成功したことが確認されたのだ。

 DARTには、イタリア宇宙機関(ASI)の提供によるトースターサイズの宇宙機LICIACubeが、搭載されていた。既に数週間前にDART本体から切り離され、衝突の瞬間を捉えるべく待機しており、衝突の数分後に衝突サイトに接近する軌道をとっていた。

 LICIACubeが捉えた衝突瞬間映像が地球に電送されてくるのは、数週間後から数カ月後になる見込みだが、撮影に成功していれば大変貴重なデータになる。これと併せて運用が開始されて間もないジェームスウェッブ宇宙望遠鏡によっても、鮮明な映像が捉えられていることが期待される。

 ディモルフォスに衝突したDARTは、ディディモスを周回する公転周期を11時間55分から10分短縮させることを狙っていた。たった500kgの探査機が、直径160mの巨大質量を持つ岩の軌道を変えさせることができる事実は驚愕に値する。人類滅亡の危機をもたらすであろう直径10kmクラスの小惑星の軌道を変えさせることも、夢ではないと期待が膨らむ。

 なお、ディモルフォスには4年後、欧州宇宙機関のヘラと呼ばれるミッションによって、表面の詳細な調査が実施される。この時、今回のDARTミッションでディモルフォスにどんな変化がもたらされたのかが明らかになる予定だ。

 残念ながら現時点ではDARTが無事小惑星ディモルフォスに命中した事実が明らかになっただけで、より詳細な情報は得られていないが、人類滅亡の危機を回避するための重要なテクノロジーが現在進行形で進化しつつあることは間違いない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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