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賃上げ、コロナ前の水準に回復 「ベースアップ」企業が4割超え 3年ぶり
東京商工リサーチが2022年度「賃上げに関するアンケート」調査。2022年度に賃上げを実施した企業(予定含む)は83%。実施内容では「ベースアップ」が42%。コロナ前の19年度を上回る水準。[写真拡大]
オミクロン株から新型コロナウイルスが弱毒化したこともあり、政府は今年春から感染流行時でも社会・経済活動の規制を行わない方針を示し、経済活動はほぼ正常化したと言える。経済活動再開に伴い再び人手不足の問題が浮上するとともに、新しい技術に対応する人材難の問題も深刻化している。企業は人材確保の点からも賃上げを積極的に行うようになってきており、賃上げを実施した企業の割合は8割を超え、コロナ前の2019年度を上回る水準まで回復している。ベースアップを実施した企業も3年ぶりに4割を超えた。
8月23日、東京商工リサーチが2022年度の「賃上げに関するアンケート調査」の結果レポートを公表している。これによれば、22年度に賃上げを実施した企業(予定含む)は82.5%で、前年21年度の70.4%から12.1ポイント上昇し、80.9%だったコロナ前の19年度を上回る水準となった。この背景についてレポートは「製造業などの業績回復だけでなく、断続的な物価上昇も影響したとみられる」と分析している。規模別に見ると、大企業が88.1%、中小企業81.5%で、6.6ポイント大企業が上回っている。産業別では、製造業が87.2%で最も高く、次いで卸売業84.5%、建設業83.7%と続いている。
賃上げの内容を聞いた結果では、「定期昇給」の81.0%が最も多く、次いで「賞与(一時金)の増額」44.2%、「ベースアップ」42.0%、「新卒者の初任給の増額」18.2%の順となっている。「ベースアップ」が40%を超えるのはコロナ前の19年度以来3年ぶり。レポートでは今年に入ってからの物価高騰が背景にあると見ている。
賃上げ率を聞いた結果では、「1%以上2%未満」が賃上げ実施企業の33.4%で最多、次いで「2%以上3%未満」が31.9%と続いている。「賃上げ率3%未満」(1%未満を含む)の合計は69.8%となり、賃上げ実施企業の約7割が3%未満の賃上げにとどまっている。規模別に見ると、賃上げ率「3%以上」は大企業で18.4%に対し、中小企業では31.6%となっており、中小企業が13.2ポイント上回っている。この中小企業での大幅賃上げについて、レポートは「中小企業の収益圧迫が危惧されるが、経済活動の本格再開で人手不足が懸念されており、人材確保のためにも賃上げせざるを得ない中小企業の姿が浮かび上がる」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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