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トイレ掃除に始まった、半世紀を超えるビルメンテナンス:ビケンテクノの足跡
ビルのメンテナンスを手掛ける業者は多い。だが「総合的」かつ「上場企業」となると、数少ない。ビケンテクノ(東証スタンダード)などはそんな1社。1963年(昭和38年)に現会長の梶山高志氏が不動産管理・清掃請負業として起業したというから、半世紀を悠に超える足跡を残している。
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起業の契機はなんだったのか。梶山氏は学生時代の下宿仲間と業を興した。最初は大阪市内のトイレの掃除。そうこうしているうちに、あるビルの共用部分でポリッシャー(電動掃除機)を回していた人に出会い「ビルメンテナンス事業」を知った。教えを請いビルの清掃管理に、足を踏み入れた。ビケンテクノの歴史を見ていくと、梶山氏の「ビジネス感性」が窺える。
例えば、JRA(日本中央競馬会)。直営で清掃管理をしていたが、組合問題で壁にぶつかっていた。そんな情報を掴むと「アウトソーシングを」と持ち掛け、いまなお続く事業の「柱」をその手にした。
例えば、大阪万博。目玉のアメリカのパビリオンのメンテナンスを担った。いま同社の語り草となっているという・・・。清掃用の泡状の洗剤を噴射する機器をアメリカから輸入し備えた。が、万博は期間制限のビジネス対象、かつ手抜かりは決して許されない。JRAで働いているスタッフを平日(競馬場定休日)に、バスでピストン輸送し仕事に臨んだ。仕事ぶりが認められ当時の駐日大使から、「なにか私にできることはないか」と声をかけられた。
それが、伊丹・羽田空港の仕事を得るキッカケとなった。清掃・メンテナンスに加え、機内食のケータリング会社から皿洗いの仕事を受注。それがサニテーション(食品工場の衛生管理事業)に繋がっていった。
チャンスをしっかりものにすることが、「起業の成功の基本」を改めて確認させられた。
そんなビケンテクモも、コロナ禍には難渋を余儀なくされた。が、前3月期は9.3%の減収も「26.0%の営業増益」。そして今期は「9.9%の増収(345億円)、41.5%の営業増益(20億円)」計画。前期の決算動向から「立ち直り基調」の背景を読み取る。
(1)ビルメンテナンス事業: コロナ禍の影響はあるも・・・物流施設関連メンテナンス受注増や働き方改革による事務所移転・集約に伴う現用回復需要、更には除菌作業の需要増で6.4%増収(265億1100万円)/15.9%営業増益(32億1700万円)。
(2)不動産事業: 売買・仲介・賃貸事業。前年度の大口案件剥落の影響で64.3%の減収(25億3200万円)、26.8%営業減益(5億2600万円)。
ただ主力の「(1)」に関しビケンテクノでは、「コロナの影響は予断を許さない」としながらも「物流背設関連などの営業強化」や、「新規不動産開発への提案で堅調を維持」といった視点で今期を見通している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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