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アルゼンチン、仮想通貨大国になれるか?
●インフレ加速で仮想通貨人気
ロイター通信の報道によると、インフレ率が60%近くまで上昇している南米アルゼンチンでは、仮想通貨(暗号資産)の人気が高まっていると言う。
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普及率は約12%で、同じく南米のブラジルやペルーの2倍とも言われている。
ステーブルコインのペッグ離れから下落傾向が続く仮想通貨は、マネーロンダリングの温床を防ぐ意味でも、各国が規制を強めている。
そんな中でも、インフレ加速で深刻な経済状況であるベネズエラでも普及率は高く、アルゼンチンとともに防衛手段として仮想通貨の人気が高い。
アルゼンチンが仮想通貨大国として世界をリードするのか?
●アルゼンチン経済
第2次世界大戦に巻き込まれなかった国として、戦後経済発展を遂げてきたアルゼンチン。
一方で、ハイパーインフレと対外債務問題が長年の課題であり、2001年にはデフォルトに陥り、深刻な財政・金融危機を招いた。その後も2014年、2020年と建国以来9度のデフォルトを経験している。
通貨アルゼンチンペソは下落を続けており、人口の約40%近くが貧困ラインと言われている。外国為替にも厳しい資本規制が行われている。伝統的に大衆に迎合し、国民に不人気な政策をせず、先送りする傾向のある国でもある。
●仮想通貨大国へとなるのか?
マイニング(採掘)を禁止・規制強化する国が多い中、アルゼンチンはマイニング国としての存在感も強めている。
アルゼンチンは政治家が人気取りのために住宅用電力に補助金をつけるなどして、電気料金が安価であることもマイニングが人気の理由である。今後、国の重要な産業となる期待感も一部ではある。
ただ、アルゼンチンが仮想通大国としてなることで、新たな問題を引き起こすことも考えられる。
ビットコインを法定通貨にしたエルサルバドルでは、次の国債の利払いに匹敵する損失を出した。
金利が追い付かないほどのインフレとなっているアルゼンチンだが、金利がない仮想通貨を保有しても、下落すれば意味がない。
アルベルト・フェルナンデス大統領は、昨年のインタビューで規制には慎重な姿勢を見せており、国としては当面は容認するだろう。だが経済が脆弱な国であるからこそ、仮想通貨が打撃を与えかねない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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