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任天堂株を取得! 存在感を見せるサウジ政府系ファンド
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●PIFが任天堂の株式を大量保有
ロイター通信などによると、5月18日に提出された大量保有報告書により、サウジアラビア政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が、任天堂株式の約5%を保有していることが分かったという。
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保有目的は純投資としているが、4月にはムハンマド・ビーン・サルマーン皇太子の財団が所有する企業が、日本のゲームメーカーSNKの株式の約96%を所有していることが話題になった。
PIFは他にも、韓国のゲーム会社ネクソン(東証プライム上場)や、コーエーテクモ、カプコンといったゲーム会社の株を大量保有していることも分かっている。
厳格なイスラム教の国と知られるサウジアラビアは社会変革を進めているが、サブカルチャーへの投資はどういう狙いがあるのか?
●ムハンマド・ビーン・サルマーン皇太子とは?
2015年に即位したサルマン国王の息子で、国防相・副皇太子として存在感を強め、2017年からは皇太子兼副首相として、わずか36歳にして絶対的な地位にいる。
激しい権力闘争を経て、政敵を追放するなど、強権的な手法でその地位を不動のものとしている。2018年には、自身に批判的だったカショギ記者がトルコのイスタンブールで暗殺されたとされる事件にも関わったとされている。
カタールとの断交、イエメンの内戦に介入など、たびたび国際社会から非難を浴びている。
世界最大の産油国ではあるが、脱石油依存・民間企業の改革などを含むビジョン2030という社会変革を掲げている。
●今後も存在感を示す?
ここ数年、ムハンマド皇太子は国営企業・サウジアラムコの株式上場や政府系ファンドの積極的な投資を進めてきた。
一方で、女性の社会進出や30年間禁止されてきた娯楽施設の解禁など、保守主義からの転換を図り、経済の活性化にも力を入れてきた。
一連のゲーム会社の大量保有は、サウジ王族に日本のゲーム愛好家が多いからとも言われているが、自国のコンテンツ産業育成のためとも見られている。
急激な改革には批判も多いが、今後も改革の一環として、サウジアラビア政府系ファンドの動向に注目することになるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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