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がか座β星で30個の太陽系外彗星を発見 パリ天体物理学研究所
がか座β星を周回している彗星の想像画 (c) ESO/L.カルサダ(画像: CNRSの発表資料より)[写真拡大]
がか座β星は地球から約63光年の距離にあり、この恒星系で1987年に初めて太陽系外彗星が発見された。この星は太陽の1.75倍の質量を持ち、誕生から2000万年程度しか経過していないため、誕生間もないころの太陽系で起こっていた事象を類推するための格好の観測対象となっていた。
【こちらも】太陽系外で見つかった地球型惑星同士の衝突の痕跡 MITの研究
この恒星系で最近新たに30個の太陽系外彗星が発見された。Scientific Reportsで公表されたパリ天体物理学研究所などの研究論文によれば、NASAのトランジット系外惑星探査衛星TESSによる、2018年以来の合計156日間の観測データから、がか座β星の前を30回にわたり、彗星が横切っていたことを確認したという。
この30個の彗星観測データから大きさの分布を調査したところ、太陽系における彗星の大きさの分布に類似した傾向が見られた。またこれらの太陽系外彗星は、全て同様の軌道特性を有した。それぞれのダスト生成率により、彗星の核のサイズとダストテールに異なる傾向が見られ、2系統に分類できたという。
彗星の尾はガス状部分とそれを取り巻く塵の部分で構成される。従来はガス状部分の観測しかできなかったが、TESSでは塵の部分の観測も可能となり、今回の論文で示されたような、より詳細な分析が可能となったのだ。
太陽系の彗星は、カイパーベルトに由来する短周期彗星とオールトの雲に由来する長周期彗星の2系統に大別される。カイパーベルトに由来する彗星の多くは、木星の引力に捉えられて、太陽に接近する軌道をとる短周期彗星となったもので、オールトの雲に由来する彗星は、木星の引力の影響を受けないで長周期彗星となったものとされる。
オールトの雲はカイパーベルトの1000倍も太陽から離れた場所にあるため、このような彗星公転周期の違いが生じると現在では考えられている。
がか座β星の30個の彗星が2系統に分類される理由はまだ不明だが、太陽系と同じような構造(カイパーベルトやオールトの雲のような構造)が、この星でも存在している可能性がある。この恒星系を研究していくことで、なぜこのような構造が形成されたのかが、明らかになる日が来るかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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