NASAの小惑星探査機ルーシー、そのカメラ性能は?

2022年4月12日 15:50

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ルーシーのテスト画像を撮影した範囲の2008年に撮影された星空(赤、青、黄色のボックスは、ルーシー搭載カメラT2CAM、MVIC、L'LORRI画像のフレーム) クレジット:SwRI; ニューメキシコ州のファハダビュート上空で見た2008年の夜空のファイル写真(国立公園局提供)

ルーシーのテスト画像を撮影した範囲の2008年に撮影された星空(赤、青、黄色のボックスは、ルーシー搭載カメラT2CAM、MVIC、L'LORRI画像のフレーム) クレジット:SwRI; ニューメキシコ州のファハダビュート上空で見た2008年の夜空のファイル写真(国立公園局提供)[写真拡大]

  • ルーシー搭載カメラのT2CAMによる撮像画像(中央部やや右下にバラ星雲が写っている) クレジット:NASA / Goddard / SwRI
  • ルーシー搭載カメラのMVICによる撮像画像(この画像はT2CAMフィールドの狭い部分のスキャン中に取得されたもので、MVICの露光時間は0.92秒)
クレジット:NASA / Goddard / SwRI
  • ルーシー搭載カメラのL'LORRIによる撮像画像(L'LORRI画像で最も暗い目に見える星は、およそ17等星であり、人間の肉眼で見ることができるよりも50,000倍暗い)クレジット:NASA/ゴダード/SwRI/ジョンズホプキンスAPL

 2021年10月16日に打ち上げられたNASAの小惑星探査機ルーシーは、木星のトロヤ群小惑星探査を目的としており、太陽系誕生初期の形成過程解明が期待されている。トロヤ群は、木星の公転軌道におけるラグランジュ点(厳密にはトロヤ点、これについてはのちに詳しく示す)と呼ばれる場所を周回している、小惑星群を指す。

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 木星におけるラグランジュ点とは、木星および小惑星が太陽の周りを周回する三体問題における5つの平衡解だ。その意味するところは、太陽と木星の位置が決まっていれば、この三体問題を構成する小惑星の位置はラグランジュ点のうちのどこかに定まるというものである。

 この5つの平衡解のうち、木星の60度前方に位置する点と60度後方に位置する点をトロヤ点といい、トロヤ群はこの2カ所に存在している小惑星群である。これらの小惑星は太陽系誕生後、木星が現在の公転軌道を周回するようになって以降、ずっとその位置を周回している太陽系初期の遺物であるとNASAは見ている。

 木星のトロヤ群小惑星はいずれも小さく、その存在を鮮明に捉えた画像は全く存在せず、我々がこれまでに目にしてきたものは想像イメージイラストだけだ。ルーシーは、これらの小惑星のうちの8つに接近して、鮮明な画像を撮影する予定となっている。

 NASAゴダード宇宙飛行センターは2月14日、ルーシーが捉えた広範囲にわたるテスト画像データを公開した。この画像は、11カ所の異なる視野を捉えたもので、これらによってカメラ性能や感度、およびさまざまな方向を正確に指す宇宙船の能力が評価された。

 NASAによれば、ルーシーに搭載されたカメラは、わずか10秒の露光により、肉眼で捉えられる光の5万分の1しかない非常に暗い存在(17等星)も、鮮明に捉えることが可能という。ルーシーがトロヤ群を直接撮影できるようになるまで接近するのはまだ先の話だが、現時点で非常に鮮明な画像が得られる性能があることが確認できたのは朗報だ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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