三井不動産ホテルマネジメント、廃棄される花活用しホテル館内を装飾

2022年4月3日 16:14

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ロスフラワーを使った「花手水」でお客を出迎える(画像: 三井不動産ホテルマネジメントの発表資料より)

ロスフラワーを使った「花手水」でお客を出迎える(画像: 三井不動産ホテルマネジメントの発表資料より)[写真拡大]

 三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)は1日、第一園芸(東京都品川区)と共同で、廃棄される花「ロスフラワー」を使ってホテル館内を装飾する「ロスフラワープロジェクト」を開始した。新型コロナウイルスの影響で宴会や結婚式の中止が相次ぎ、花の廃棄が増えている。ウエルカムフラワーとして活用することで、花農家の支援につなげる。

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 全国21個所の三井ガーデンホテルとザ・セレンスティンホテルズで展開。需給バランスや規格外などの理由で廃棄される予定の花を「花手水」として設置する。手水とは神社仏閣の参拝時に水で口や手を清める風習のこと。水の代わりに草木や花の露を用いることを花手水と呼ぶ。そこから転じて、鉢や水盤に花を浮かべることを呼称することもある。

 第一園芸の協力で館内にロスフラワーを活用した花手水を展開し、季節の移ろいを表現して宿泊客を迎える。週替わりで花を入れ替え、毎週異なる表情で出迎えられるようにした。

 フラワーロスは業界の深刻な問題となっている。需要が読みづらいため小売り御者が過剰に仕入れを行い、売れ残った花を廃棄するという構造があるためだ。フラワーライフ振興協議会によると、仕入れ量の30~40%が廃棄されると推測されていると言う。フラワーロスによる経済損失は年間1500億円規模にもなる。

 これに拍車をかけたのが新型コロナウイルスだ。花の安定的な供給先となっていた冠婚葬祭が控えられるようになった。農林水産省によると花の国内消費の28%を占めていた法人の利用が、ほぼゼロになったと言う。

 花の流通のかなめである市場が休止され、輸出も停止。店舗も休業を余儀なくされ、大幅に花の取引きは減少した。こうした状況を受け、両社は新たな需要を創出しようと考えた。

 第一園芸は、三井不動産の100%子会社で年商41億円(2021年3月期)。店舗販売や婚礼装花に加えてオフィスビル屋上や壁面の緑化、庭園管理や造園、さらに商業施設をLEDでイルミネーションをするなど空間装飾も手掛けている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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