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地球外生命探索、メタンが有力な指標となる可能性 カリフォルニア大の研究
岩石惑星における大気中のメタン供給源 (c) 2022 Elena Hartley[写真拡大]
地球外生命探索には、地球とよく似た環境の惑星を有力候補として絞り込んでいくことが有効である。そのためにまずガス惑星を候補から除外し、岩石惑星にターゲットを絞り込むことになる。
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だがひとつひとつの岩石惑星をくまなく観測して、生命存在の可能性を評価していくことは、途方もない時間を要し、実質的には不可能な作業である。したがって簡単なセンシングで生命存在の可能性の有無を評価できれば、生命探索作業の効率は飛躍的に向上できる。
カリフォルニア大学サンタクルーズ校は3月28日、そんな夢のような手法を公表した。研究によると、太陽のような恒星を周回する岩石惑星では、大気に二酸化炭素があり、メタンが一酸化炭素よりも豊富で、非常に水が豊富である場合、大気中のメタンは生命の強力な兆候と見なされる可能性が高いという。
岩石惑星でのメタン供給源には、火山活動や彗星などの他の天体の衝突、生命活動などがある。火山からのガス放出は、メタンと一酸化炭素の両方を供給するが、生命活動があれば、一酸化炭素が消費される。非生物学的プロセスでは、メタンと二酸化炭素の両方が豊富で、一酸化炭素がほとんどない惑星大気を簡単に作り出すことができない。
つまり、二酸化炭素が存在して、水が豊富にある岩石惑星で一酸化炭素よりもメタンが豊富にある場合、そこには生命が存在している可能性が高いことが見出されたのだ。この条件に該当する岩石惑星を絞り込んでゆくことで、生命探索の効率は飛躍的に高められる。ちなみに火星の大気組成は最新データによれば、一酸化炭素が0.06%で、メタンは0.5ppbと、生命存在の可能性は非常に微妙なところだ。
従来はメタンが生命存在指標として活用できるか否かが、必ずしも明確になっていなかった。だが今回の研究で、メタンを生命存在指標として活用できる前提条件が整った。今年後半に観測を開始するジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡では、メタンは容易に検出できるため、これからの生命探索に大きな期待がかかる。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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