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マツオカコーポレーション:ユニクロの影武者論に、いささか噛みつきたい理由
同業者の原稿にとやかく言うのは厳禁だと、不文律として自らに課している。が、今回ばかりは、不文律を破る。
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2月11日のヤフーニュース欄に、『決算分析:躍進のグローバル企業アシックスと転落する「ユニクロの影武者」マツオカコーポレーション』と題する記事が掲載された。
アシックスが「グローバルブランドの地歩を固めた」と論じている点は(収益)数字でも裏付けられており、納得した。ひっかかりを覚えたのは、マツオカコーポレーションの収益悪化に関する部分だ。
マツオカコーポレーション(東証1部)の前2021年3月期は5.6%の減収も「75.3%の営業増益、135.1%の最終増益」と、立ち直りの兆しを見せた。だが今期は「0.1%増収、67.1%営業減益、63.8%最終減益」と再び厳しい見通しで立ち上がり、第2四半期開示とともに「7.3%の減収、95.6%営業減益、89.1%最終減益」に下方修正した。
気になったのは、厳しさ/下方修正の理由である。マツオカコーポレーションが「アパレル(小売り)企業に向けた生産工場(OEMの供給元)」であることは承知している。そのOEM先に、ユニクロを中心としたファーストリテイリングがあることも承知している(原稿の筆者は国内売上高の約70%としている)。
この限りでは読み流す。だが『ファーストリテイリング(の収益)が大きく落ち込んでいないことから、(マツオカコーポレーションの厳しさは)見捨てられたか納入の価格を下げられたため・・・分からないが』としている点だ。
「分からない」なら取材すればいい。マツオカコーポレーションの決算資料が虚偽の事実を記していない限り、収益下落/下方修正の要因は資料に記されているように「生産の重要拠点であるベトナムで新型コロナ感染の拡大を受け一部で工場内の人数制限等による操業時間の短縮による稼働率低下を余技されるなど、(他の生産工場がある)中国・ミャンマー・バングラデシュ・インドネシア・日本でも現地政府からの指示で短期間だが操業停止を余儀なくされた」と捉えるべき。
且つ資料には「アパレルOEM事業を中心とする従前からの事業の売上高は前年並みで推移した」と記されている。
筆者はマツオカコーポレーションに取材をしたのか。「ユニクロの影武者」と表現されているがどう受け止めるか、と問い合わせてみた。広報IR担当者から、こんな回答が戻ってきた。「表現については筆者の意図を図りかねるため、当社としては妥当性の是非についてはコメントしかねる。だがファーストリテイリングとの取引については前期段階で直接販売が概ね2割、(繊維適用元の)東レグループ等を通じた間接販売が概ね4割。大幅減益は決算資料等で記している通り」。
いささか掲載の原稿には我々の商売の基本である「取材」という部分が欠けていた、と思わざるをえない・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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