宿題で答えを丸写ししてしまう子どもの特徴

2022年3月14日 07:48

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 私の勤務している学習塾は優秀な生徒が多いが、中には成績が伸び悩む生徒もいる。そのひとりは出された宿題の答えを丸写しして提出する生徒だ。保護者や本人と面談を重ねた結果、その行動に結びついてしまういくつかの特徴があることがわかった。今回はその特徴と改善方法をまとめていこう。

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■試行錯誤する忍耐力がない

 生徒に適した問題は、ある程度の試行錯誤を重ねた結果で答えを導き出せる難易度になっている。答えを写してしまう生徒は、自力で解けないのではなく、この試行錯誤の過程を苦手としていた。

 子どもは本来さまざまなことに興味を持ち、答えのない問いに果敢に取り組む力を持っている。しかし、教育の過程で試行錯誤する機会を奪われ続けてしまうと、答えを追究する力を失ってしまうのだ。例の生徒の場合はなにか失敗をするとひどく叱られていたようだ。失敗する機会を奪われ、試行錯誤をすることを諦めてしまったのである。

■生活に時間的余裕がない

 スケジュールを詰め込みすぎて、ゆとりのない生活の中では思考力はうまれにくい。勉強に対して前向きな気持ちを持つためにも、時間的・精神的な余裕が必要なのだ。

 例の生徒は小学生でありながら、毎日なにか習い事の予定が入っていた。客観的に見れば隙間時間で宿題をこなすことは可能かのように見えたかもしれない。しかし、学校と習い事を忙しくこなした後では、試行錯誤をして課題を達成するだけの思考力は残っていなかった。そこで答えを写すことしか出来なかったのではないかと思われる。

■時間の余裕をつくってあげよう

 子どもに与える習い事は、優先順位をたてて絞ってあげるべきだろう。少なくとも週に3日は習い事のない日として確保してほしい。空いている時間は遊んだり、ぼーっとしたりしているかもしれない。そういった時間も子どもにとっては学習の基盤である思考力を作り出すために必要である。

■試行錯誤の機会を奪わない

 失敗を許されない環境は、子どもの思考力を低下させてしまう。失敗した時や失敗しそうな時もなるべく手出しをせずに見守ってあげよう。また、子どもがなにかに興味を持って考えている時には、安易に答えをあげるのではなく考える時間をあげるようにしよう。

 小学生の子どもに中学受験をさせたい親もいるだろう。中学受験でも暗記する学習から思考力を問う問題が増えてきている。子ども本来が持っている思考力を大切にするために、ゆとりのある生活を心掛けてほしい。(記事:双風サキ・記事一覧を見る

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