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4日、東京地検特捜部はSMBC日興証券の相場操縦疑惑に絡んで、同社の専務執行役員を含む幹部4人を逮捕した。金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕されたのは、専務執行役員でエクイティ本部長のヒル・トレボー・アロン容疑者(51)と執行役員で副本部長のアヴァキャンツ・アレクサンドル容疑者(44)、執行役員で同社エクイティ本部副部長の山田誠容疑者(44)と元同本部エクイティ・プロダクト・ソリューション部部長の岡崎真一郎容疑者(56)だ。
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自己売買部門としてSMBC日興の資金で株取引をする「エクイティ部」と、営業部門として大株主からブロックオファーの注文を受ける「エクイティ・プロダクト・ソリューション部」は、同じエクイティ本部の屋根の下という関係だ。
報道によると、相場操縦の対象銘柄として、東証1部上場の小糸製作所、モスフードサービス、アズワン、ファイバーゲート、京葉銀行等5銘柄の取引振りが注目されているという。
大株主から売却のオファーを受けたSMBC日興証券は、引き受けた株式の値崩れを防止するため、市場を通さず購入を希望する投資家を集めて売却する、「ブロックオファー」取引とするのが通例だった。概ね、大株主から依頼を受けた日の終値が目途になる。マーケットで形成された価格であることが、売り手の側にも買い手の側にも納得性が高いからだ。
ところが、翌営業日のマーケットで売りが膨らむと投資家心理が後ろ向きになり予定数料が捌けなくなる。投資家の希望に迎合して終値を下回る価格付けをすると、大株主の不興を買って取引がキャンセルの危機に陥る。さらに、「売値ー買値=SMBC日興証券の利益」という数式がなりたたなくなってしまう。どう転んでも株価の低下は避けたいという心理が証券会社側に働くのは否めない。
SMBC日興証券のブロックオファーでは、売却先の募集期間を通常1日としていた。大株主から引き受ける前日に投資家への告知と募集を行い、引き受け当日の終値よりも数%引き下げた価格を売却価格としていた。こういった取引の場合、株価は売却価格につられて値下がりしやすいのが一般的だという。
こんな取引パターンを承知していた投資家が、引き受けの打診を受けた際に自分は投資を見送った上で、空売りで利ザヤ稼ぎを狙う者がいても不思議でない。他社の場合は4~5日程度の募集期間を設けるためタイミングを絞り切れず、空売りを仕掛ける例は少ないと聞かされるとなおさらだ。SMBC日興証券のブロックオファー自体に空売りを集めて、違法な買い注文へのモチベーションを高めるシステムが内蔵されていたようなものだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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