プロキシマケンタウリ星系で新惑星発見 質量は地球の4分の1 ESOの研究

2022年2月14日 17:07

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プロキシマケンタウリdのイメージイラスト (c) ESO / L。カルサダ

プロキシマケンタウリdのイメージイラスト (c) ESO / L。カルサダ[写真拡大]

 プロキシマケンタウリは、太陽に最も近い恒星でその距離は約4.25光年である。この星は赤色矮星で太陽直径の7分の1にしか満たない暗い星(11.13等星)のため、これほど近くにありながら、肉眼で見ることはできない。だが2016年1月に、ヨーロッパ南天天文台(ESO)がこの星系のハビタブルゾーンで発見した惑星プロキシマケンタウリbによって、一躍脚光を浴びる存在となった。

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 また2019年4月にこの星系から知的生命体が発したかもしれない電波が捉えられ、さらに話題を呼んだ。だがその正体が明らかにされないままその後は再び受信されることなく、この件は今も謎に包まれている。

 これまでにプロキシマケンタウリでは、2つの惑星の存在が確認されていた。そして2020年、3つ目の惑星の存在がESOにより示唆され、2022年2月10日、ESOの研究者らによって正式に惑星プロキシマケンタウリdの存在を確認したとの論文が公表された。

 それによればプロキシマケンタウリdの質量は地球の4分の1で、視線速度技術によって観測された太陽系外惑星の中でも最軽量の存在だという。ちなみにこれまでに発見された太陽系外惑星で最小質量のものは、ケプラー37bで地球の0.01倍以上と推定されている。

 視線速度技術とは、恒星を回る惑星の引力で生じる恒星の小さなぐらつきを拾う手法で、新惑星の引力によるプロキシマケンタウリのぐらつきはわずか毎秒約40センチメートルに過ぎない。この惑星の存在の可能性が示唆されてから、検証に約2年間を要したのもこのためだが、これに貢献したチリのヨーロッパ南天天文台超大型望遠鏡(ESOのVLT、直径8.2mの4台の望遠鏡の総称)の優れた能力を実証した形となった。

 さらに驚くべきは、プロキシマケンタウリdの公転半径が400万km(水星の公転半径の10分の1程度)しかないことだ。これほど恒星の近くを周回する惑星の存在を確認できた事実は大きく、今回実証されたVLTの超高性能は、今後より多くの太陽系外惑星を発見できる可能性を示唆している。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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