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コロナ終わりの始まり? オミクロン「肺炎・後遺症リスク極めて低い」 東大・感染研が解明
東大、感染研が動物モデルを用いた新型コロナウイルス・オミクロン変異株の性状解明。オミクロン株は肺における増殖能が従来株よりも低く呼吸器症状の悪化がみられない。[写真拡大]
予測どおり冬になり新型コロナ感染症の第6波が到来した。東京都の検査結果によれば第6波では99%がオミクロン株への感染であると言う。オミクロン株は従来の株と比べ感染力が強いものの重症化リスクは極めて低いようだ。東京大学の研究チームの重症化率推計によればオミクロン株が中心の第6波での重症化率は0.15%でデルタ株の5分の1以下と推計されている。症状についてもオミクロン株では発熱、せき、倦怠感、のどの痛みなど上気道症状が大多数で、呼吸困難、嗅覚障害はほとんど見られない。医師によっては旧来株とは全く違った疾患と表現する者もいる。現在の重症化率の低さをワクチン効果だとも考えられるが、東京大学と国立感染症研究所の共同研究での動物実験によるとオミクロンそれ自体が感染後の増殖力が弱く呼吸器症状の悪化が起こりにくい特性を持っているようだ。
1月21日、この研究成果(SARS-CoV-2 Omicron virus causes attenuated disease in mice and hamsters)が「Nature」のオンライン速報版に掲載された。これによれば、東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授らの研究グループがマウスとハムスターを用いてオミクロン株の増殖能と病原性を従来の流行株と比較した結果、感染したマウスの肺や鼻における「オミクロン株の増殖能はベータ株と比べて大幅に低く」、オミクロン株を感染させたマウスでは「呼吸器症状の悪化も認められなかった」。デルタ株との比較では。デルタ株感染ハムスターでは体重減少と呼吸器症状の悪化が認められたのに対して「オミクロン株では体重減少と呼吸器症状の悪化はみられず、鼻では増殖は見られたが、肺での増殖能はデルタ株よりも顕著に低かった」。CT解析の結果では、デルタ株感染ハムスターでは新型コロナ特有の肺炎像が観察されたが、「オミクロンでは軽度の炎症しか見られなかった」。「ヒトのhACE2を持つハムスターにおいても、オミクロン株の病原性と増殖能はデルタ株よりも低い」ことが明らかとなった。
「動物モデルでの成績がそのままヒトに当てはまるかどうか不明」であると指摘されているが、国内で観測されている「呼吸困難がない」、「嗅覚障害がない」という臨床像とも一致する。ワクチン接種は感染後のウイルス増殖を抑制するが、これがさらに奏功している可能性もある。嗅覚症状は嗅覚神経を通じてウイルスが脳へ侵入し後遺症の原因の一つとなるが、オミクロン自体の増殖能の低下で後遺症リスクも減少した可能性もある。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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