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原油価格、OPECプラスは減産幅縮小も高値持続の見込 需要旺盛で
日本総研が「原油市場展望」。OPECプラスは減産幅の縮小(増産)を継続。需要回復への強気な見方[写真拡大]
新型コロナワクチンの普及で世界的に経済活動の正常化が推し進められている。懸念されていたように世界同時の経済加速によって一次産品・原材料価格の高騰が発生し、既に中小製造業を中心に影響が出始めているとともに消費者物価への転嫁による急激なインフレも懸念される。一次産品価格高騰の代表は原油価格の高騰だが、これはパンデミック下での需要減を見込んだOPECプラスの減産が主要な原因だ。経済再開に伴い減産幅を縮小し増産に転じており、またオミクロン株の登場で需要が減速し以前よりも落ち着いてきた感はあるものの先物は上昇傾向で未だ原油価格は高水準だ。
1月7日、日本総研(日本総合研究所)が原油価格動向のレポート「原油市場展望(2022年1月)」を公表している。レポートによれば、先物が上昇傾向な理由として、1.既存のワクチン接種の有効性が確認されたこと、2.米原油在庫が減少したこと、3.欧州で天然ガス価格が上昇したこと、を挙げている。しかし、投機筋の先物買い越し幅はオミクロン株の感染拡大に対する警戒感の緩和に伴い縮小しているようだ。しかし、先行き不透明な状況が続く中、原油供給の拡大は緩やかなものにとどまっており、経済正常化に伴う世界的需要は旺盛で需給のひっ迫が意識されやすい展開が続くと見られる。しかし、春以降は暖房需要が一巡し落ち着きを見せるとレポートは予測している。
OPECプラスの動きを見ると、1月4日に開催された会合で前月と同水準の日量40万バレルの減産幅の縮小(増産)を決定した。背景は、1.需要回復への強気な見方があり、21年12月月報では「不透明感は根強いものの、経済への悪影響は軽微かつ一時的」との認識。2.米国など石油消費国との対立回避があり、米国のガソリン価格は依然として高水準で推移しているため「産油国に増産を要請するバイデン米政権への配慮の意味合いもある」とレポートは見ている。先行きについてレポートでは「需要の大幅な下振れ懸念が台頭しない限り、OPECプラスは減産幅縮小の方針を維持する」と予想。同様のペースで増産が続くと供給超過に転じるとも見込めるが、OPECの在庫は20年後半以降減少傾向が続いており、増産継続でも原油価格が急落するリスクは小さいとレポートは見込んでいる。原価高でインフレ懸念が高まり、価格転嫁困難な事業者の資金ショートも心配されている。原油価格の動向に引き続き注視が必要だ。(編集担当:久保田雄城)
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