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日本電産:永守CEOが仕掛けた、DMG森精機凌駕の理由
昨年の相場は(日経平均株価で)500円水準の急落・反発が、必ずしも珍しくはなかった。だがそんな中でも「うーん」と唸らされる、企業の株価動向に出会うことがあった。
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例えば日経平均が前日の2万8283円から462円値下がりし2万8000円を割り込んだ(2万7821円)昨年11月30日に、逆に約5%値上がりした日本電産など象徴的だった。ちなみに本稿作成中の時価は1万3000円台前半。対してIFIS目標平均株価は、算出担当アナリスト17人全員が時価を割安とする「強気派」で1万5000円台半ば。
株式市場は、日本電産CEO:永守重信氏の表現は適切でないかもしれないが「新たな大いなる野望」を買っていると考える。「野望」とは、工作機械業界で第1位になること。「(首位)DMG森精機よ、首を洗って待っていろよ」である。
モーターで世界首位の日本電産はいま、EVやロボット用減速機の増産体制を強めている。永守CEOは「成長分野と位置付けている」と言い切っている。その為にはEV向け部品の効率的生産を実現する上で、工作機械の内製化が不可欠。歯車工作機で世界3強の1社:三菱重工工作機械(現、日本電産マシンツール)を昨年8月に買収した。
また今年2月には工作機械の老舗:OKKを傘下に収める。OKK取得に関しては、「永守流M&Aの真骨頂を見た」とする評価が高い。「柿は熟れ切って落ちてくるのが一番旨い」とか。
OKKは一口で言えば、海外戦略に出遅れ失敗した。最盛期(07年3月期)には58億円を計上していた営業利益が20年3月期には1億円へ。21年3月期は棚卸資産の過大計上による不正会計で決算発表が大幅に遅れ(27億円営業損失)、東証に監理ポストへ移行された。今3月期は3億円の営業赤字計画。経営再建が急務となったが、白馬の騎士は現れない。
おっとり刀で?手を差し伸べた(第3者割当増資引き受け)のが、日本電産。OKKは自動車向けマシニングセンター(多種類の加工を連続で行えるNC工作機)が主力。日本電産マシンツールは大型工作機が強み。両社を傘下に置くことで「中小型汎用機」のラインナップが充実する。
日本電産は工作機械事業に関し、「26年3月期:売上高1000億円大台乗せ」「27年3月期:M&Aを含め売上高2500億円以上」を目標として掲げている。
DMG森精機を四季報は【続伸】の見出しで好調な収益動向を伝え、22年12月期の売上高を「4200億円」と独自予想している。この限りでは、さすがの日本電産もVS森精機に売上差異を認めざるをえない。しかし永守会長の持論は、「1番以外は皆ビリ」。さて勝負の行方は・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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