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コロナ禍で苦しむ製造業 反転攻勢を睨む日本企業の戦略とは?
電子部品メーカーのロームは、需要が拡大するアナログLSI及びトランジスタの生産能力強化を図る[写真拡大]
国内の新型コロナウイルス感染者数も落ち着き始め、昨年や一昨年に比べて、穏やかなスタートを切った2022年。経済面も一時期の壊滅的な落ち込みからは脱却し、徐々に回復の兆しを見せている。昨年末、日銀が発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、改善が5四半期続いていた製造業が横ばいになったものの、非製造業は大幅に改善した。緊急事態宣言の全面解除から数ヶ月で、人流が街中や観光地にも戻ってきた。コロナ禍で我慢を強いられた分、買い物や旅行へ消費意欲が向かう「リベンジ消費」の影響が、非製造業の大幅改善に繋がったとみられている。
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一方、改善が続いていた製造業は停滞気味となった。コロナ禍の影響による供給制約や、原材料価格の高騰が原因として考えられる。中でも半導体不足は世界的な問題となっている。テレワークや巣ごもり需要の継続で一定の需要があったところに、自動車市場が回復。さらに自動車の電装化、脱炭素化への急加速が重なり、半導体や電子部品関連市場全体でサプライチェーンが混乱している。製造業では、調達先の見直しや、複数調達化に取り組むなど、サプライチェーンの強靭化が急務になっている。また、半導体や部品メーカーには、増産対応が求められているが、設備投資しようにも製造装置の納期自体が延びている状態であるため、これまで以上に長期的な視点での先行投資が必要不可欠になるだろう。
既に動き出している日本の企業もある。電子部品メーカーのロームは、需要が拡大するアナログLSI及びトランジスタの生産能力強化を図るため、マレーシアの製造子会社であるROHM-Wako Electronics(Malaysia) Sdn. Bhd.に新棟を建設することを決定した。地上3階、延べ床面積:29,580㎡の新棟は、2023年8月竣工予定で、稼働した際のマレーシア工場全体の生産能力は、現在の約1.5倍になる見込みだ。様々な省エネルギー技術を用いた設備の導入によって、工場稼働時のCO2排出量が旧棟と比べて約15%削減すると見込んでおり、環境負荷軽減にも余念がない。同社は今後も生産能力の強化を進めるということで、頼もしい限りだ。
精密部品メーカーのスター精密は、工作機械を生産する海外2拠点の生産能力を増強することを決定した。2022年2月に中国工場、22年末をめどにタイ工場の生産能力を、各々3割ほど高める方針だ。同時に、今まで主に海外拠点が担ってきた1000万円前後の中低価格帯機種の製造について、役割分担を見直すことになった。製造業のオートメーション化や部品の小型化などが進められていることが背景にあり、高まる工作機械の需要に対応できる体制を整える構えだ。総投資額は、双方合計して約9億円に上るそうだ。
同じく精密部品メーカーの田中電子工業株式会社では、台湾の高雄市に3拠点目となる新工場を設立することを発表した。半導体の周辺部品であるボンディングワイヤを製造する同社では、素材として金よりもコストパフォーマンスの優れたPCCワイヤを製造している。家電や自動車のみならず、身の回りの電子機器にも用いられることが多く、今後の需要増が見込まれている。拠点を増やすことで、品質を落とすことなく、安定した供給が出来るよう体制を整えている。
2022年になっても引き続き懸念されるのは、残念ながら新型コロナウイルスだ。変異株として現れたオミクロン株が、世界で猛威を振るっている。いつ国内でも感染が拡大するかわからない。ただ、これまで何度も繰り返してきたように、感染が拡大すれば、いずれ減少に転じる。一時的な経済の冷え込みも、いずれ回復する。製造業と非製造業の両輪がスムーズに回転して初めて、スムーズな経済回復が実現する。向かい風の中の地道な努力が、コロナ禍以前を凌ぐ経済発展に繋がることを信じたい。 (編集担当:今井慎太郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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