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着々と進む、鎌倉新書の終活インフラ事業
エンディングノート(画像: 鎌倉新書の発表資料より)[写真拡大]
2018年頃から厚労省が推進しているという、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」に関し無知だった。「万が一の時のために、あなたが望む医療・ケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組み。通称『人生会議』」というものだという。
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鎌倉新書が12月2日に配信した、『ACPを推進する自治体を支援―家族と一緒につくるエンディングノートを協働刊行―』なるリリースで「人生会議」を初めて知った。
周知の通り鎌倉新書は「いいお墓」「いい葬儀」「いい仏壇」「いい相続」など13のサービスを提供する、ポータルサイトを運営している。小林史生社長はコロナ禍できつい収益状況を強いられながら、「終活インフラの構築を標榜する事業展開に注力する」としている。
今回のACPとの関りも、その一環ということのようだ。具体的に「エンディングノートの協働刊行」とは、どんな活動か。リリースと広報担当者の噛み砕きから、こういう内容だと分かった。
★コロナ禍もあり、「最期をどのように迎えるのか」という、漠然とした不安を抱える人が多い。自治体や企業による終活支援のニーズは今後さらに高まっていく。既に29都道府県95自治体と「支援」で提携している鎌倉新書が、具体的な形として「エンディングノート」を協働刊行する。
★通常のエンディングノートは、「終末期医療」「資産問題」「供養の在り様」を、家族やかかりつけ医に向けてのいわば「指示書」。対して今回の協働刊行によるエンディングノートは本人の希望だけでなく、「家族や医療・ケアチーム等の関係者との話し合い」を反映する内容。特に命にかかわる難局面での意思決定では、家族で納得して決断した過程を大切にするため本人や家族の「大切にしたい価値観」「今後取り組みたいこと」などの項目が盛り込まれている。
★前記したポータルサイトを展開する鎌倉新書には、終活に関して年間約12万件の相談が寄せられる。そうした蓄積・知見から「かかりつけ医や既往症」「関連金融機関」「葬儀の生前予約やお墓の用意の有無」なども、残された家族の負担軽減につながる項目として掲載されている。
★エンディングノートは自治体の無料配布・書店での購入で容易だが、要はその一冊を書き上げられるかどうか。鎌倉新書では「終活セミナー」開催の実績を生かし自治体住民が書き始める「キッカケづくり」「保管方法のアドバイス」をする。
★エンディングノート普及のための自治体の予算はゼロ円。制作費用は地域の民間企業や団体からの広告費で捻出する。
さすがは終活事業の老舗と言うべきか、鎌倉新書はエンディングノートによって一皮も二皮も剥けた存在に居所を変えそうである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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