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9月23日に公開された映画『クーリエ:最高機密の運び屋』は実話にもとづいたスパイ・サスペンスだ。
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今回はこの映画から、人知れず世界を核戦争から救うことになる男たちの名言を取り上げたい。
■『クーリエ:最高機密の運び屋』とは
米ソの軍拡競争が加熱する1960年、ソ連参謀本部情報総局(GRU)のひとりの高官がアメリカに協力を申し出てきた。彼は核戦争を回避するためソ連の核兵器などの機密情報を西側に提供すると言う。
インターネットなど存在しない時代、盗んだ機密書類を運ぶにはクーリエ(運び屋)が必要だ。西側の情報機関が目をつけたのは、政府と無関係だがソ連と西側を頻繁に行き来しても疑われない人物。
それがこの映画の主人公である実在したイギリス人のセールスマン・グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)だった。
映画『クーリエ:最高機密の運び屋』は、見つかれば命のない危険な任務を通じて2人の男たちの間に固い絆が育まれていくドラマをたくみに描いている。
■ I fear nuclear war is coming and I want to help you prevent it.
実在したGRUの高官・オレグ・ペンコフスキーが西側に機密情報を提供した真の動機は定かではない。
今回の映画では単純に、ソ連の実情を知らせることで、米ソ間の応酬が逸脱して核戦争に発展するのを防ぎたかった、とされている。
このセリフでは動詞helpの用法を確認しておきたい。「あるひとが何かすることを手伝う」という場合、手伝う対象のひとが目的語となり、そのひとの行為が動詞の不定形で続く。
上のセリフのhelp you prevent itでは、目的語you(=西側陣営)が核戦争を防ぐこと(prevent it)を助ける、という構造になっている。
■ You tell me what your problems are, and if I think I have a client that may have a solution, let’s talk it through.
最高機密の運び屋となるビジネスマン・グレヴィル・ウィンも実在した人物だ。上にあげたセリフは彼の仕事内容を簡潔に表現したものである。
顧客の問題を聞き取り、自分のクライアントのなかに問題解決できそうな者がいれば、その解決策をじっくり話し合おう、と言っている。実在のウィンは電気工学を大学で勉強しており、セールスマンとはいえ技術コンサルタントに近いだろう。
このセリフではlet’s talk it through(そのことを徹底的に話し合おう)という表現を覚えておきたい。
■ No matter what the politicians are doing, factories still need machines, machines still need parts.
ウィンが仕事の関係で東欧諸国を頻繁に訪れていたことが、機密情報の運び屋として西側情報機関にうってつけであった。
ペンコフスキーに接触するためモスクワを訪れたウィンはソ連の科学研究委員会で自分の訪問目的を説明する。「政治には関係なく、工場には機械が必要、機械には交換部品が要る」と言ってあくまで政府とは無関係で商売にしか興味がないことを強調している。
このセリフの前半部、no matter以下の節は疑問詞whatを伴って「たとえ政治家たちが何をしていようとも」という意味。What以下を省いてno matter whatだけで「たとえ何があろう(起ころう)と」という意味のイディオムになる便利な表現である。
■ If you want to do business in Moscow, I need to know … can you hold your alcohol?
一昔前の商談に酒の付き合いは不可欠で、相手がロシア人ともなると飲む量が一通りでない。ソ連にビジネス目的でやって来たウィンにもペンコフスキーは「酒に強いか」と尋ねている。
他動詞としてのholdは「持つ、支える、抱きしめる」といった基本的な意味のほかに、「持ちこたえる」という意味もある。ここから転じて「酔わずに酒を飲む」という意味の成句がhold one’s drink/liquorである。
■ You did it, Alex.
1962年10月、ウィンを通じてペンコフスキーが西側にもたらした情報から、アメリカ政府はソ連がキューバに核ミサイル基地を建設中であることをいち早く察知した。
前年のベルリンの壁建設時にはソ連から軟弱と侮られたケネディ大統領だが、今回は断固としてキューバの海上封鎖を実施。キューバへの核ミサイル配備をソ連に断念させる。
「You did it! 」は相手が良い結果を出したときなどに褒めるのに使われる定番のセリフ。今回の映画ではウィンがペンコフスキー(Alex)のおかげで核戦争が回避されたことを伝える感動的な終盤の場面で使われている。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る)
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