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NASAの火星探査、地球からの直接制御ができない期間に 10月2日から2週間
NASAの火星ミッション (c) NASA / JPL-Caltech[写真拡大]
NASAのジェット推進研究所は28日、10月2日から10月16日にかけての2週間は、地球と火星との間の電波による通信手段が断たれるため、火星における探査活動が地球から直接制御できない期間となることを公表した。
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これは地球と火星との間に太陽が位置するためだ。太陽の影にさえぎられる形で地球から火星を見ることができず、同様に火星からも地球が見ることができない状況となる。
地球と火星の公転周期の関係上、約2年に1度は必ずこのような位置関係になる。通信手段が断たれる厳密な理由は、太陽が発する高温のイオン化ガスが、地球と火星との間で交わされる通信電波と干渉を起こし、地球から発した制御コマンド信号が破損、火星探査機の誤作動を招く懸念があるためだ。
ただし、この2週間にミッションが完全に停止するわけではない。あらかじめ数週間分のごく簡単な実行コマンドを送信しておき、通信が取れない期間中も簡単な活動は継続されるという。例えばパーサヴィアランスは気象測定や火星で生じている音の測定を継続。火星ヘリコプターは、パーサヴィアランスから約175m離れた場所で静止したまま、その位置の状況についての情報をパーサヴィアランスへ送り続ける。過去のミッションで火星に投入されたキュリオシティも気象測定や放射線測定を、さらにインサイト着陸船は地震測定を続けていく。
通信制御がきかなくなる2週間でできなくなる活動は、火星からの生の映像を受信したり、その情報に基づいて地球から各探査機を直接コントロールし、サンプルの採取や掘削作業をすることだ。また探査地点を変更するための移動指示を出したりといったこともできない。
通信制御がきかなくなる2週間の間に火星探査機に蓄積されたデータをダウンロードし、地上からの新たな通信制御を伴う活動を再開するためには、約1週間の期間を要する。本格的なミッションが再開されるのは、10月下旬の予定だ。それまでの間、もし仮に火星に小惑星が衝突したり、大地震が発生したとしても、探査機たちは情報収集し続けるため、そのような歴史的瞬間を捉えそこなってしまう心配はとりあえずなさそうだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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