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ウォール街を知るハッチの独り言 定食の値段から考える日米の物価事情(マネックス証券 岡元 兵八郎)
*09:28JST ウォール街を知るハッチの独り言 定食の値段から考える日米の物価事情(マネックス証券 岡元 兵八郎)
さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、9月13日に配信されました。
そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ウォール街を知るハッチの独り言」の内容をご紹介いたします。
私はこれまで世界80か国を訪れ、日本国内の旅行より海外の国々を回る機会が多い人生を過ごしてきました。しかし、ここ1年以上コロナ禍で海外へ行けなかったこともあり、国内出張や、機会を見て週末を使い日本の地方を知る機会が増え、改めて日本の良さを知ることができました。日本人にとっては日々生活していて当たり前のことなのですが、海外の国々をよく知っている者の視点から、改めて考えさせられたのは日本のモノの安さです。 その一方、30年以上前のアメリカを知っている者としては、アメリカはモノの値段が高くなってきたなあとつくづく感じるものの、日本のモノの値段が上がっていないと言った方がより正確なんだろうなと思っています。
日本で300を超える店舗がある定食屋の大戸屋で、さばの炭火焼定食を食べると840円です。 それがニューヨークにある大戸屋では、SABA SETをお昼に食べると22ドル(約2400円)と日本の2.8倍です。メニューの写真を見る限り、日本のさばの炭火焼定食とほぼ同じです。
日本で鶏と野菜の黒酢あん定食を食べると890円です。アメリカでは鶏肉の値段の方が魚より安いこともあり、ニューヨークの大戸屋でTORI KUROZU AN SETを頼むと21ドル(約2,310円)と日本の約2.6倍です。米国に進出している、日本で有名なラーメンチェーンの値段の日米格差も同じようなものです。
確かにハンバーガーや、ピザに慣れているアメリカ人にとって日本料理は美味しく、他の食べ物の値段と比べると、こういった価格設定は高いと思わないのでしょう。
これはインフレがあり株式市場や不動産などの資産価値も上がっているアメリカ人にとっては割と当たり前で、デフレで株も不動産価値も長期に渡って上がってない日本人には日本の値段が普通なのでしょう。グローバルな視点でもアメリカが高いというより、日本の値段が安すぎるということだと思います。
私がここ1年半くらいで日本国内を旅して感動したのが地方の民宿です。勿論民宿によりますが、私が事前に調べて泊まった民宿ははずれがありませんでした。大抵はご夫婦で経営されており、その地方のご当地グルメがこれでもかと食卓に並びます。海辺の民宿であれば、お部屋から海が見えたり、中には温泉が付いていたりする所もあり、私は日本の民宿の素晴らしさを改めて発見したのです。
それで肝心の値段はというと1泊2食付きの料金が8,000円ほどの民宿が少なくありません。高くても大抵のところで1万円以内で収まります。8,000円というと約73ドルです。1万円でも91ドルです。 ここで先ほどのニューヨークのさばの炭火焼セットの2,310円と比較しますと、この価格差は何かと思うのです。勿論ニューヨークの店舗の賃料が高いなど説明はつくのかも知れませんが、それでもなんとなく釈然としないのです。米国の地方に行っても大した施設もないホテルで一泊200ドル(約22,000円)以上するホテルはざらにあります。
私は宿を立つ時、宿の方へお礼の言葉を伝えると同時に、こんなに安い料金で泊めさせてもらって良かったのかと少し申し訳ない気持ちで宿を後にします。
水は高いところから低いところへ流れます。モノの値段が上がりやすいアメリカの株式市場に投資をし、資産を増やし、その増えたお金で国内旅行し、地方の民宿や旅館に泊まり、地方のお土産をたくさん買う、それが自分にできる日本経済への貢献かなと思った次第です。
マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎
(出所:9/13配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)《FA》
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