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ビジネス中国語学習者が知っておきたい、中国のことわざ5選
ことわざは、人々が日々の暮らしの中で学んだ教訓や物事の道理をシンプルな言葉でまとめたものだ。中国のことわざ(谚语:yàn yǔ )には、5千年の歴史の中で代々語り継がれた知恵や人生哲学が詰まっている。
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しかし、中国で暮らしたり、中国人と付き合うと、儒教を生み出した礼節の国とは思えない光景を目にすることがある。彼らが語る高邁な理想と実際の行動の乖離に幻滅を覚えることもしばしばだ。
これまで、たった1つのことわざを知ることによって、目の前の霧が晴れるように、中国人の一見不可解な言動が、実は深い人生哲学に根ざしていることを知るということが何度かあった。今回は、中国人の価値観や行動原理をより正しく深く知るために、知っておきたいことわざを5つ紹介したい。
●1. 真人面前莫说假,假人面前莫说真(zhēn rén miàn qián mò shuō jiǎ ,jiǎ rén miàn qián mò shuō zhēn)
意味: 世情に通じた人の前ではでたらめなことを言わない。不誠実な人の前では、真実を語ってはいけない。
中国人が嘘ばかり言うと感じた時は、自分が世間知らずで嘘っぽい人間で無いか疑ってみる必要があるのかもしれない。
●2. 害人之心不可有,防人之心不可无(hài rén zhī xīn bù kě yǒu fáng rén zhī xīn bù kě wú)
意味: 他人を陥れようなどと考えてはならないが、他人から陥れられないよう警戒心を失ってはならない。人をだますな、だまされるな。
一見フランクで開放的に見える中国人だが、実は警戒心が強く用心深い一面を持つ。国土が広い多民族国家の中国では、「人を見たら泥棒と思え」的な慎重さが必要なのかもしれない。
●3.可怜天下父母心(kě lián tiān xià fù mǔ xīn)
意味: 世の中でありがたく、哀しきは、子を思う親心。親の心子知らず。
「 学区房(名門学区の住宅)」というドラマが今年中国で放送され話題を呼んだ。
小学校に進学する子供により良い教育を受けさせるため、重点小学校(教師や教育レベルの高い学校)の学区内に、大枚をはたいてマンションを購入しようと奮闘する夫婦を描いたドラマだ。中国では重点学校の学区内に建つ物件は非常に高額だが、子供に良い教育を受けさせるため、両親は、大金を惜しまずに注ぎ込む。
中国では親子関係は絶対的なものであり、親が子供のより良い将来のために財産・時間・労力を捧げるのは特別なことではない。子もまた、いくつになっても親に頭が上がらず、親の意見に従う。欧米や日本のように、成人後は自立して好きなように生きるというわけにはいかないのが、中国の親子関係だ。
●4. 大事化小,小事化了(dà shì huà xiǎo, xiǎo shì huà liǎo)
意味: 重大なことを些細なことに変え、些細なことは何でもないことに変える。ことを荒立てない。
多民族国家で異なる習慣や考え方が共存する中国では、寛容でおおらか、度量の大きさが美徳とされる。物事に固執したり、責任を追及したりする日本人の姿が中国人には「小気(心の狭い人)」で「小人(卑しい人)」と映る場合があるので注意したい。
●5. 车到山前必有路,船到桥头自然直(chē dào shān qián bì yǒu lù,chuán dào qiáo tóu zì rán zhí)
意味: 車が山の前に来れば必ず道があり、船が橋に近づけば自ずと垂直になって通れるようになる。案ずるより生むが易し。為せば成る。
中国人の最大の武器は粘り強さとたくましさだ。中国の優れた文化や技術、優秀な人材は、人口圧力の増大と熾烈な競争の中で生まれる。厳しい環境が人を鍛錬し、不撓不屈の精神を持つ力強い民族や国民を育てるのだ。絶対に諦めないたくましさを持つしたたかな民族、それが中国人あるということを知っておきたい。
2004年に上海辞書出版社から出版された「中国谚语大辞典」には10万ものことわざが収められている。下記は頻出のことわざをまとめた中国のサイトだ。興味を感じたものや、ビジネスシーンなどで使えそうなことわざをピックアップしてみよう。
ことわざは会話やスピーチで使うと双方の親しみの感情が増す。ユーモアを交えて上手に使うと、その場が盛り上がるので、上手に活用してほしい。中国人との距離が一気に縮まるだろう。(記事:薄井由・記事一覧を見る)
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