関連記事
ハリケーン「アイダ」で原油価格上昇 今後の影響は?
●ハリケーン「アイダ」が米国南部に上陸
大型ハリケーン「アイダ」が8月29日(現地時間)、米国南部に上陸し、甚大な被害をもたらしている。
【昨年もハリケーンが襲来】メキシコ湾のハリケーンで原油価格の上昇は続くのか?
家屋の倒壊や浸水も多数あり、約100万の世帯や事業所が停電しており、まだまだ被害が拡大する可能性もある。ルイジアナ州のエドワーズ知事は「死者数も相当数に上るだろう」と述べている。
昨年のハリケーン「デルタ」に続き、メキシコ湾岸の石油施設にも大きな被害を与え、生産が停止している。これを受けて、WTI原油先物も1バレル=69.4ドルまで急上昇した。
米国安全執行局(BSEE)によると、生産は約95%ストップしており、原油170万バレル以上の減産、天然ガスの生産にも大きな影響が出ている。
ハリケーンの勢力は弱まったが、被害の全容はまだ確定しておらず、アフガン情勢とともに原油にとって不安定要素となり、さらなる原油価格の上昇が危惧される。
●米国ルイジアナ州は2005年にもカトリーナで被害
ルイジアナ州は米国南部に位置し、メキシコ湾に面しており、テキサス州やミシシッピ州、アラバマ州と共に石油生産が盛んな地域である。
2005年にも大型ハリケーン「カトリーナ」が大きな被害をもたらし、特にルイジアナ州ニューオリンズ市では市の大部分が水没、死者は1300人に達し、被害額も1250億ドル(約13兆7500億円)となった。
この時も、石油施設は大きな被害を受け、原油先物も70ドルを突破した。今回のアイダの被害もカトリーナ級とも言われている。
●原油上昇はどこまで?
今回の被害が甚大であることは間違いないが、原油先物の動きも70ドルは突破せず、投資家は意外と冷静に静観していると言える。
昨年もだが、毎年ハリケーンはあるものという心構えがあり、耐性が出来ているという見方も可能かも知れない。
昨年は世界中でコロナ禍の先行きが見えず、ワクチンもなく、WTI原油先物も需要の回復が見込めず、上昇しても45ドル台だった。米国大統領選を見極めている投資家も多かった。
カトリーナの時は3週間後にも大型ハリケーンが上陸し、被害に追い打ちをかけ、復旧を阻害した。二次被害にも警戒が必要だ。
石油だけでなく、複数の液化天然ガスの輸出基地や樹脂などを製造する石化プラントもある。停電も続けば、製造面にも大きな影響を与え、世界的な物価や供給面にも大きな影響が出かねない。
原油にとっても不安定な要素が多く、その他の資源の先物価格や材料価格にも大きな影響を及ぼしそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード