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ジーニーは調整一巡、マーケティングSaaSビジネス成長で22年3月期大幅増益予想
ジーニー<6562>(東マ)はマーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーを目指して、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域の強化や広告プラットフォームビジネスの収益力向上を推進している。22年3月期はマーケティングSaaSビジネス領域の成長で大幅増益予想としている。第1四半期は黒字転換した。通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニー
マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーを目指して、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域の強化や広告プラットフォームビジネスの収益力向上を推進している。
21年3月期の売上高構成比はアド・プラットフォーム事業が80%、マーケティングソリューション事業が10%、海外事業が11%だった。なお22年3月期から事業区分を、インターネット広告に関わる広告プラットフォーム事業、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域のマーケティングSaaS事業、および国内のプロダクトを東南アジア中心に展開する海外事業に変更した。
20年11月には高速・高精度検索エンジン開発のビジネスサーチテクノロジを子会社化した。また21年8月には顧客獲得・管理チャットポットサービスを開発・提供するREACTを完全子会社化した。
収益面の季節特性として、広告プラットフォーム事業では広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中する傾向がある。なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社となっている。ソフトバンクと協業してクロスボーダーサービスの強化・拡大を推進している。
■広告プラットフォーム事業は独自アドテクノロジーが強み
広告プラットフォーム事業はインターネット広告市場において、広告収益を最大化するサプライサイド(ネットメディア向け)の「GENIEE SSP」が取引実績2万社で国内シェア1位、デマンドサイド(広告主向け)の「GENIEE DSP」が広告主数500社で国内NO.1のデータ保有量を誇っている。
ネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)を強みとしている。ネット広告取引市場においては、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引されるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用して広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。
21年7月には21年5月開始したWeb動画リワード広告において、UNICORNが運営する国内最大規模の全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」との連携を発表した。
■DOOH領域に展開
広告プラットフォーム事業の領域拡大戦略として、大型屋外サイネージ、タクシー広告、駅内広告、歯科医院待合サイネージなど、DOOH(自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域に積極展開している。
18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月DeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。19年8月にはジオネクサスにDOOH広告配信プラットフォームをOEM提供した。19年11月にはメディカルアシストTVと業務提携し、歯科医院デジタルサイネージ向けプログラマティックOOH広告配信を開始した。
20年1月にはヒットと業務提携し、20年2月に首都高速道路沿い大型屋外ビジョン向けプログラマティックOOH広告配信を開始、20年3月に東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いにプログラマティックOOH広告配信を開始した。
20年7月には京王エージェンシーと業務提携してデジタル広告効果の可視化に向けた実証実験を開始、20年8月にはユニカと業務提携してDOOH向け広告配信サービス「YUNIKA VISION DOOH」の提供を開始、20年10月には日本自動ドアおよびYmixと業務提携してFast Beautyが運営する全国約88店舗ヘアカラー専門店fufuに設置するタブレット端末へ広告配信した。
21年5月には、デジタル屋外広告プラットフォーム「GENIEE DOOH」とユナイテッドマーケティングテクノロジーのDSP「Bypass」と連携開始した。またホープ<6195>と業務提携した。気象庁ホームページ広告運用事業における広告配信システムを共同で構築・提供・運用する。21年7月には「GENIEE DOOH」とSpotX Japanの動画広告配信プラットフォーム「SpotX」の連携を発表した。
■DX支援マーケティングSaaSビジネス領域を強化
マーケティングSaaS事業は、クラウド上でアプリケーションを提供するSaaS型のビジネスモデルで、企業のマーケティング活動を効率化するソフトウェアを提供している。
具体的にはCRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システムの「ちきゅう」、マーケティングオートメーションツールの「MAJIN」、チャットボットツールの「chamo」、サイト内検索の「probo」を展開している。
CRM/SFAシステム「ちきゅう」は、顧客管理CRMシステムおよび商談管理SFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。マーケティングオートメーション「MAJIN」は企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に購買・契約等を行うためのプラットフォームである。取引実績は合計で約1万社に達し、チャットボットツール「chamo」は4500社の導入実績を持つ国産NO.1のチャットツールである。
集客~販促~受注までを一気通貫で実行・管理できる唯一のセールス&マーケティングプラットフォームとして、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域の成長を加速させる方針だ。
21年6月には不動産業者向けDX推進を目的として、SS Technologiesと業務提携した。21年8月に完全子会社化したREACTを「chamo」と統合して更なる成長拡大を目指す。
■24年3月期(IFRSベース)EBITDA27億円~32億円目標
24年3月期の目標値には、IFRSベースで売上高250億円~300億円、売上総利益80億円~90億円、営業利益20億円~25億円(日本基準ベースで18億円~23億円)、EBITDA27億円~32億円を掲げている。
マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーとなるべく、広告プラットフォーム事業を伸ばしながら、マーケティングSaaS事業の急成長を目指す。またプライム市場への上場を目標として、流動性/ガバナンス/経営成績・財政状態の基準のクリアを目指すとしている。会計基準はIFRSの適用を検討する方針だ。
■22年3月期1Q黒字転換、通期も大幅増益予想
22年3月期連結業績予想(収益認識に関する企業会計基準第29号適用のため売上高の前期比増減率は非記載)は、売上高が134億25百万円~137億39百万円、営業利益が6億40百万円~8億40百万円(21年3月期比3.3倍~4.3倍)、経常利益が6億20百万円~8億20百万円(同4.2倍~5.5倍)、EBITDAが12億59百万円~14億59百万円(同2.1倍~2.5倍)、親会社株主帰属当期純利益が5億26百万円~6億65百万円(同5.2倍~6.5倍)としている。収益認識に関する会計基準を適用しない場合の売上高予想は150億49百万円~153億63百万円(21年3月期比7.0%増~9.3%増)となる。配当予想は未定である。
第1四半期(収益認識に関する企業会計基準第29号適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響はなし)は、売上高が29億68百万円で、営業利益が50百万円の黒字(前年同期は1億32百万円の赤字)、経常利益が43百万円の黒字(同1億28百万円の赤字)、EBITDAが1億93百万円の黒字(同50百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が17百万円の黒字(同1億02百万円の赤字)だった。
売上高は、収益認識に関する会計基準適用で約4億円のマイナス影響があったが、計画を上回り実質的に増収だった。さらに売上総利益率が改善して、各利益も計画を大幅に上回って黒字転換した。
セグメント別(調整前、22年3月期から区分変更して一部を組み換えたため前期比増減率は非記載)に見ると、広告プラットフォーム事業は売上高が24億55百万円で利益が3億73百万円だった。サプライサイドビジネスの伸長にデマンドサイドビジネスの成長が加わり、売上総利益が57%増加して過去最高となった。マーケティングSaaS事業は売上高が2億28百万円で利益が18百万円の赤字だった。拡販や新プロダクトなどで売上高が199%増と成長拡大した。海外事業は売上高が3億03百万円で利益が20百万円だった。リセラーおよびパートナーシップビジネスの強化を推進した。
通期はSaaS型プロダクト開発・機能強化などへの先行投資が完了して収益拡大フェーズとしている。事業別計画は、広告プラットフォーム事業の売上高が101億円~103億円(21年3月期は119億円)で利益(調整前)が15億円~16億円(同11億円)、マーケティングSaaS事業の売上高が15億円~16億円(同7億円)で利益が3億円~4億円(同▲0.5億円)、海外事業の売上高が12億円(同15億円)で利益が0.9億円(同0.9億円)としている。
経済環境の不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第1四半期は想定を上回った。また第1四半期の進捗率は低水準の形だが、下期以降も成長が加速して通期営業利益は過去最高更新見込みとしている。通期ベースでも収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
なお8月13日に自己株式取得(上限35万株・3億50百万円、取得期間21年8月16日~22年8月15日)を発表した。そして8月17日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)によって4万7900株を取得した。
株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月30日の終値は1017円、今期予想連結PBR(会社予想の連結EPS上限値553円80銭で算出)は約1.8倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS147円12銭で算出)は約6.9倍、時価総額は約184億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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