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彗星のように振る舞う小惑星 ナトリウムが原因か NASAの研究
太陽に接近した小惑星ファエトンが内部からナトリウムの蒸気を宇宙空間に放出しているイメージ (c) NASA/JPL-Caltech/IPAC[写真拡大]
太陽系では、小惑星と認識していた天体が太陽に接近するにつれ、彗星のように明るい尾を引く現象を示すことが時々起こる。従来、彗星と小惑星は全く別々の天体として認識されてきたが、小惑星が彗星のような振る舞いをする事例が増えてくると、彗星と小惑星の線引きの在り方にも見直しの必要性が出てくるかもしれない。
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NASAジェット推進研究所は16日、小惑星が彗星のように振る舞うケースに関する考察結果を公表した。なお、本件に関する詳細はThe Planetary ScienceJournalに論文が全文掲載され、閲覧が可能となっている。
NASAによれば、3大流星群の1つに数えられるふたご座流星群の母天体は彗星ではなく、直径5.8kmの小惑星ファエトンであるという。ファエトンは氷を含まない天体で、太陽に接近した際になぜ彗星のような発光現象を起こすのか、そのメカニズムは謎に包まれていた。NASAはその謎にメスを入れ、発光現象をもたらす張本人がナトリウムではないかとの結論に達した。
ナトリウムの沸点は882.8度と金属の中ではかなり低い。ファエトンは公転周期524日で太陽の周りを周回し、太陽最接近時には最高表面温度は750度にも達する。そのためNASAは、ファエトンに存在するナトリウムが溶融し、宇宙空間に飛散するとの仮説のもと検証実験を行った。
検証実験は、ファエトンの自転周期である3.6時間を想定した熱サイクルを、ファエトンとほぼ同等の組成を持つと考えられる1969年にメキシコに落下したアエンデ隕石サンプルに与え、隕石に含まれる各元素の挙動を観察するというものだ。
その結果、フェアトンの近日点温度よりもはるかに低い600度付近から隕石サンプルの質量損失が起こり、それによって失われた元素は主にナトリウムであることが判明したという。氷が存在しない小惑星を彗星のように振る舞わせていた張本人は、ナトリウムである可能性が高いとの結論に達したのだ。
だが、ファエトンの表面にあるナトリウムはすぐに蒸発して消失し、毎年のように流星群をもたらす理由は説明ができない。これについてはフェアトンの内部にまだたくさんのナトリウムが残っているためと研究者たちは推論している。
ふたご座流星群がもたらす流星は明るく長い尾を引くものが多い。いつまでもフェアトン内部のナトリウムが使い果たされずに、流れ星に願いをこめる楽しみを奪わないでほしいと祈るばかりだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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