日本刀と青龍刀 日本と中国の自動車技術

2021年8月7日 07:27

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日本刀参考画像 刀剣名:月下の笹(提供:奥出雲たたらブランド推進会議)

日本刀参考画像 刀剣名:月下の笹(提供:奥出雲たたらブランド推進会議)[写真拡大]

  • 独車5社は排ガス浄化技術の出し惜しみ談合に制裁金が課されたことを伝える記事 ©sawahajime
  • ホンダのF-1レース4連勝、5連勝を伝える記事 ©sawahajime

 日本の自動車技術を日本刀と考えて欲しい。

【こちらも】EV車に集中投資する判断は正しいか

 中国に日本刀が作れるか?彼等には青龍刀レベルの刀剣しか作れない。

 彼等がどうあがいても日本刀の様な、繊細で卓越した業物が作れない。それなら、日本刀を亡き者にすれば青龍刀の天下だと考えた。

 それがEVシフトなのだ。

 それに「鈍ら(なまくら)サーベル」しか作れない技術レベルのドイツが追従した。

●青龍刀

 「青龍刀」は、三国志とかの漫画やゲームで、中国人が使っているでっかい刀だ。本来は、関羽が愛用したとされる薙刀の様な「青龍偃月刀(せいりゅう えんげつとう)」だ。

 刃の幅が非常に広く、 重量と遠心力により威力を発揮する片刃で、片手で持つ刀で、「柳葉刀(りゅうようとう)」というのが正しい。

 要するに、刀を鍛えるといった技術は必要無くて、重さにまかせて「ぶった切る」だけの代物だ。

 ここでは一般的な呼称である「青龍刀」を便宜上使うが、何がいいたいのか?

 「青龍刀レベルの自動車技術」が中国の水準だという事の比喩として採り上げた。

 「青龍刀」なんぞは、精緻な「日本刀」とは比較するのも「残念な」武器である。極論すれば、鉄板をプレス機で打ち抜いて、グラインダーで刃をつければ一丁上がりだ。

 中国がEV車にシフトする事を狙ったのは、「青龍刀」レベルのままなら、未来永劫日本や欧米諸国に追いつけないからだ。

 「土俵とルールを変えて何とかしたい」、「モーターと電池さえ持ってきたら何とかなるだろう」との魂胆からEVシフトを唱えたに違いない。

●尻馬に乗ったドイツ

 ディーゼル車に対するアメリカの排ガス規制逃れで、規制値をクリア出来ないからと、走行中に排気ガス処理システムを働かせずに、排ガスデータを捏造したVWのせいで、世界的にディーゼル車に対する忌避が拡がった。

 当初、クリーンディーゼル車で、日本の先進的なハイブリッドシステムに対抗しようとしていたが、技術レベルの低さを露呈した。

 結果、日本の技術に屈するのを潔しとせず、「EV推し」の中国の尻馬に乗った。

 つい先日も、ドイツのメーカーが談合して、高度な排気ガス対策手段を出し惜しみして摘発されている。ドイツはいつからこんな卑怯な国になったのだろうか。

 ドイツは、「脱原発」を掲げて原子力発電が11.8%だが、71.5%と原発比率の高いフランスから電力供給を受けている。

 従って、CO2排出にかかわる石炭、石油、天然ガス等による発電比率はフランスの11.3%に対して53.4%もある。自国内に原発を設置しないだけで、隣国の原発に頼っているだけだ。

 本来、ドイツには自国内にEV車が普及する素地が無い。
 

●日本刀

 歴史上で有名な刀鍛冶・刀工は、
 ・堀川国広 室町時代末期~江戸時代前期
 ・相州五郎正宗 鎌倉時代末期~南北朝時代初期
 ・長曽祢虎徹 江戸時代前期
 ・村正 室町時代末期
 ・三条宗近 平安時代中期  である。

 これ等の刀匠が鍛えた名刀は、現代の技術をもってしても再現出来ない。

 冒頭掲げた画像の様に「奥出雲たたらブランド推進会議」とかは、相当立派な刀剣を鍛えるところまでは頑張っているが。

 バイオリンの名器、「ストラディバリウス」も、現代の技術でも再現出来ないのと同じだ。

●ホンダのF1レース5連勝

 F-1レースでの目覚ましい活躍を見れば、ホンダは「日本刀の名匠」に匹敵する技術を持っている事は明白である。

 折角築き上げたこれ程の技術であるからこそ、これを継続して、内燃機関の技術をより一層磨き上げ、他の追随を許さないとの気概で邁進して欲しい。

 折角、「日本刀の名匠の地位」を築き上げたにも拘わらず、日本刀を捨てて青龍刀にシフトする事は、創業者である本田宗一郎氏も納得されるとは思えない。

●企業としての決断

 大企業を率いる「優秀な」経営者が、経営陣と熟慮を重ねた上での「EVシフト」との結論であるのは明白だ。

 従って、「単なる部外者」がどうこういうのは間違っているかも知れない。

 それでも、幼年期から自動車に親しみ、自動車メーカーに勤務し、リタイヤ後には試験装置メーカーで自動車業界と共に過ごした筆者としては、550万人の仲間がいる「日本の自動車業界」に人一倍の愛着がある。

 そうであるからこそ、日本を代表する自動車メーカーの、それも「トップレベルの内燃機関技術を持つ企業」としては、非常に残念な決断であるといわざるを得ない。

●自動車工業会・豊田章男会長の存在に感謝

 万一、カルロスゴーンが、あんなに惨めな卑しい犯罪を行って逃亡せず、トヨタと日産が僅差で首位争いをしていたら、そして何等かの都合で「自動車工業会会長」に就いたとしたら、その結果は想像するだけで恐ろしい。

 我欲だけで行動する輩の行動は予想がつかないからだ。

 それと同じく、ホンダの社長が「自動車工業会会長」であったと考えれば、あの犯罪者と同等に扱うのは非常に失礼ながら、将来を見据えた判断が出来ていないとすれば、その対応には期待出来ない。

 今、自動車工業会の会長が、日本に於ける「自動車業界全体」、関わる550万人を大局的に俯瞰し、蓄積された「日本刀」の様な自動車技術を武器に、世界をリードする志と先見性、指導力を備えた豊田章男氏であった事に、心から感謝したい。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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