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楽天、「仮想化」通信インフラを独1&1社に提供へ
4日、楽天グループは、専用通信機器を仮想化によってソフトウエアに置き換える技術を使い、通信網の設計と運用を一括で請け負う契約を、ドイツの新興通信会社1&1と締結したことを発表した。
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楽天の受注額は総額で2500億円~3000億円とみられ、およそ10年間に渡って高速通信規格「5G」等の通信網に向けた技術を提供することになる。
目論見通りに進めば、独1&1社は通信網の整備や運用コストを40%前後軽減することになり、独国内第4位の通信会社としての脆弱な財政基盤への負担を緩和するものと期待される。
楽天は世界の約300社とされる通信事業者のうち、既に70社以上と、「RCP(楽天・コミュニケーションズ・プラットフォーム)」というパッケージされた通信インフラの商談中と伝えられていたから、いよいよ事業としてスタートしたことになる。
世界中の通信事業者にとって悩みの種は、ファーウェイ、ノキアとエリクソンという3社の通信機器ベンダーが市場を押さえている構造だ。調達先が極端に限定される売り手市場であることや、ネットワーク設備に他社が食い込めないような囲い込みが行われているため、割高な機器の導入を迫られることが多く、通信事業者の設備投資は増加する一方だ。
こうした「ベンダーロックイン」と呼ばれる状態を脱却するために、機器間の規格を統一して3大ベンダー以外のネットワーク設備を使えるように、「オープン化」を進める動きは大手通信事業者の中で既に始まっていた。
個人レベルでも、「純正」の箔が付くだけで割高になることは、既に色々な局面で経験しているだろうが、一般的には多少怪しげな商品も含めて選択肢が複数あるのが当たり前である。
「オープン化」から発想を進めたのが「仮想化」だ。既に楽天モバイルが、通信品質では世界最高のレベルが要求される東京で事業を開始した実績がある。基地局の設置が思い通りに進んでいないというネックはあるにしても、「仮想化」の通信システムそのものは問題なく稼働しているから、新規導入や切り替えを検討中の通信事業者にとって、初期的な不安は解消されていると言って良い。
今回の独1&1社の仮想化システム導入は、現在検討中の通信事業者の背中を押す効果があるだろう。
楽天モバイルは6月28日から開催されたモバイル関連見本市「MWC」(スペイン・バルセロナ)で、「オープンRAN」の技術で「Global Mobile (GLOMO) Awards」を受賞している。メーカーが違う通信設備を組合わせて使う「オープンRAN」は、現在世界中の通信事業者が投資を続けている高速通信規格「5G」向けに開発されていた。違うメーカーの製品をストレスなく組合わせて使うことが可能になれば、コスト削減効果を追求できるという朗報だ。
楽天は、「オープン化」と「仮想化」という2種類の商品を販売するベンダーとしての機能を、備えたことになる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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