関連記事
史上最大の彗星の発見 ダークエネルギー・サーベイからの情報
2014UN271の軌道(白色)(c) NASA[写真拡大]
Dark Energy Survey(ダークエネルギー・サーベイ、以下DES)によって2014年から2018年にかけて収集されたデータから、史上最大の彗星の存在が特定されたという。米Sky & Telescopeなどが報じている。この天体は2014UN271と命名されており、現在太陽から22天文単位の距離にある宇宙空間を飛行中だ。すでにガスを放出しており、2031年1月23日に近日点を通過すると予想されている。なお1天文単位とは、地球から太陽までの距離で約1億5千万kmである。
【こちらも】恐竜絶滅をもたらした天体の起源 ハーバード大学の研究
DESとは、宇宙の膨張と大規模構造の成長の動態を調べるために、米国、オーストラリア、ブラジル、英国、ドイツ、スペイン、スイスの研究機関と大学で構成されるコラボレーションだ。そもそも数多くの銀河を観測する活動であったが、今回その収集データから巨大彗星の存在が確かめられたのだ。
肝心の2014UN271の規模については、最大で直径370kmにも及ぶと考えられているが、この数字がどんなレベルなのかはイメージがしにくいかもしれない。これまで最大規模とされたヘールボップ彗星は、1995年に発見され、1997年の地球最接近時には肉眼でも容易に観測できたが、それでも直径は60km程度だった。これとの比較でみると、その規模はけた違いに大きいことが分かるだろう。
ただ残念な情報もある。この巨大彗星が近日点を通過する際の太陽からの距離は、10.95天文単位であり、土星の公転軌道のすぐ外側辺りの宇宙空間になるとみられている。ヘールボップ彗星のような見事な雄姿を肉眼で拝めるかどうかは、今のところよく分からない。
太陽へ極端に接近するサングレーザーと呼ばれる種類の彗星の場合は、巨大な尾を引くため壮大なスケールで観望が可能になる。だが2014UN271は、規模は史上最大であっても、太陽からかなり離れた宇宙空間を通過するため、巨大な尾の出現は期待できないかもしれない。
さらに驚くべきことに、2014UN271の推定遠日点距離は約4万天文単位から、約5万5千天文単位にも及ぶと推定されている。この事実は、この彗星がオールトの雲から直接太陽を目指してはるばる旅をしてきたことを意味している。この彗星が近日点を通過後、故郷に帰るためには最大で220万年もかかると推定されており、逆算するとこの彗星が故郷を出発した時点で、人類はまだ誕生していなかったことになるのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
スポンサードリンク