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ビットコインの台頭と株式・ゴールドの三つ巴 ビットコイン暴落の先にあるものは 後編
そもそも、仮想通貨がこれほどまでに膨れ上がった理由は何であろうかといえば、その大きな理由は、コロナ禍によって講じられた大規模金融緩和のバブルであろう。この緩和バブルによって、実体経済とはまるで違う動きを見せたのが株式であるが、株式はリスクオン資産の代表である。
【前回は】ビットコインの台頭と株式・ゴールドの三つ巴 ビットコイン暴落の先にあるものは 前編
そんな株式への資産流入と同じくして、同時に膨れ上がってきたのが、ビットコインなどの仮想通貨市場なのである。つまり、仮想通貨はリスクオン資産でありながらも、リスクオフ資産であるゴールドの属性を持っていることは興味深い。無国籍通貨であるという属性だ。
これまでの金融市場はリスクオン資産の株式とリスクオフ資産のゴールドが、逆相関の関係を保っていた。しかし、ここに両方の属性を持つ仮想通貨が参入してきたため、三つ巴となり、これまで当たり前であった金融市場全体のバランスが崩れつつあるということだ。代表的な例が、日本円の動きであろう。
リスクオフのニュースが出ると、これまでほとんどの場合で円高、スイスフラン高が同時に起こっていた。つまり、これらの通貨はリスクオフ資産としての価値があったのだが、昨今ではリスクオフの動きにもまるで反応が薄いのである。
さて、新しい属性の資産として仮想通貨が台頭してきたとして、今回の暴落で換金された資産はどこに流入したのだろうか。株式は頭打ちでもみ合っている状態であるから、流入も流出もしていないとすれば、その資産が向かった先は、一旦ゴールドへ向かったと考えるべきではなかろうか。ゴールドは4月上旬より再上昇を続けている。
つまり、リスクオン資産である株式や仮想通貨のうち、まずは仮想通貨が売られ、その資産がリスクオフ資産のゴールドへ流入しただけであり、これが「地合い」の悪さから発生した「一時的な値動き」だとすれば、いずれゴールドの下落と同時に、株式の再上昇か仮想通貨のリバウンドが見られるということになるだろう。
しかしながら、もしこの値動きが「一時的な値動き」ではなく、世界の中央銀行のテーパリング開始を懸念したものであれば、どうであろうか。それは、間違いなくリスクオン相場の大転換の始まりであり、この動きが金融不安につながれば、大きなバブル崩壊につながることになる。
ともあれば、今後ビットコインはリバウンドをすることはなく、次に売られるのは同じくリスクオン資産の株式ではなかろうか。今後のゴールド、株式、仮想通貨、そしてテーパリングの動きには十分に注意されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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