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カナダ中銀のテーパリングに世界は続くか?
●カナダ中銀がテーパリングを決定
カナダ中央銀行(BOC)が世界の主要国の中で最初に、テーパリングを決定した。
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ロイター通信によると、BOCは金融政策決定会合で、資産購入額を10億カナダドル削減し、30億カナダドルとした。政策金利は0.25%に据え置いている。
BOCのマックレム総裁は、今回の措置を「経済の発展を反映した」としている。
新型コロナウイルスの感染拡大では、米国は正常化に戻りつつある一方、欧州ではドイツやフランスなどロックダウンを続けている国もある。この流れに続く国はあるのか?
●テーパリングとは?強い副作用も!
テーパリングとは、先細り(英語でtaper)を意味し、金融用語ではQE(量的緩和)を縮小するという意味である。
前回のリーマンショック後のQEでは、2013年5月に当時のFRB議長バーナンキ氏がテーパリング実施を示唆したことで、米国長期金利が上昇、世界の株価は暴落。新興国通貨も暴落し、日経平均は1143円下落するなど大混乱に陥り、バーナンキショックと言われた。
その後、市場は落ち着きを取り戻し、実際にテーパリングが始まった2014年からは大きな混乱はなかった。その時の教訓として、中央銀行が市場との対話を適切に行えば、テーパリングを開始してもショックを回避できるという認識となっている。
●回避したいバーナンキショックの再来!続く国はあるのか?
今回のBOCのテーパリングはサプライズだった。利上げ開始時期予想も2023年から2022年後半に前倒しされたことで、カナダドルも急騰した。
今回のBOCのテーパリングにより、他国の動向が注目される。
コロナショック後の過剰流動性バブルは、予想よりも早いスピードで進んでおり、オーストラリア、ニュージーランドなどは不動産価格の高騰も招いている。これの国では、新型コロナウイルスの感染も抑えられている。
インフレの抑制が課題となれば、テーパリングに踏み切ることも十分にあり得る。
最も注目されるのは米国だが、早くも6月に議論を開始する可能性があるとブルームバーグが報じているが、バーナンキショックの経験を考えれば慎重にならざるを得ないだろう。
欧州は新型コロナの感染状況とワクチン接種次第となりそうだ。
米国も新型コロナへの懸念は消えたわけではなく、コロナ制圧、インフレ、市場との対話がテーパリングへのカギとなりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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