米国株式市場見通し:企業決算シーズン開始

2021年4月10日 14:40

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記事提供元:フィスコ


*14:40JST 米国株式市場見通し:企業決算シーズン開始
決算シーズン入りで、企業決算に注目が集まるだろう。ワクチンの普及で、国内の経済活動再開が一段と進んでおり、好決算への期待が相場をさらに押し上げそうだ。パンデミック下では、大半の企業が業績見通しを示さなかったが、今期からは見通しにも注目したい。経済が正常に近づくことで、全般的に業績見通しが引き上げられる可能性が高そうだ。バイデン政権は従来の計画を2週間早め19日までに全成人をワクチンの接種対象とする計画を発表しており、経済が速やかに正常化に近づくと投資家心理も改善し、更なる上昇要因になるだろう。14日には、仮想通貨取引所「コインベース」の上場も控えており、注目材料だ。

また、パンデミックが完全に終息するまで、回復に勢いをつけるための大規模な財政・金融支援が終了する可能性は少なく、引き続き相場支援材料になるだろう。バイデン政権は、1.9兆ドルの経済対策に続いて、2兆ドル規模のインフラ計画を提案。さらなる支援拡大も辞さない姿勢を示している。FRBも3月開催のFOMC議事要旨で経済や雇用が依然、「望ましい水準をかなり下回る水準」で、緩和縮小の条件を満たすまでには「程遠い」との考えを繰り返したため、早期の緩和縮小の思惑も後退。長期金利の上昇も一段落しており、ハイテク株も底堅い展開となりそうだ。

金融大手JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は株主向け年次書簡の中で、国民の高い貯蓄率や政府のインフラ投資、ワクチンの普及などを理由に2023年まで好景気が続くと強気の見方を示している。最悪のリセッションを警告した1年前に比べると、かなり明るい見通しだ。

経済指標では、3月消費者物価指数(CPI)(13日)、3月輸入物価指数(14日)、3月小売売上高、4月ニューヨーク連銀製造業景気指数、週次失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数、3月鉱工業生産・設備稼働率、4月NAHB住宅市場指数、2月対米国投資(15日)、3月住宅着工件数・住宅建設許可件数、4月ミシガン大学消費者信頼感指数(16日)、などが予定されている。さらに、FRBは14日に、地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表予定。この結果は、次回連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策決定の材料のひとつとなるため注目だ。FRBは3月のFOMCで23年までゼロ金利を据え置く可能性を示唆した。また、パウエル議長は14日に、討論会に参加予定。長期にわたり緩和策を維持する必要性を主張する可能性が強そうだ。

企業決算では、金融でJPモルガン、ゴールドマン・サックス(14日)、シティグループ(15日)、バンク・オブ・アメリカ(15日)、モルガン・スタンレー(16日)、ヘルスケア関連ではビデオ医療サービスを提供するテラドック(14日)、ユナイテッドヘルス、ドラッグストアのライト・エイド(15日)、そのほか、小売りのベッド・バス・アンド・ビヨンド(14日)、飲料メーカーのペプシコ、航空会社のデルタ航空、金属製品メーカーのアルコア(15日)などが予定されている。

金融の決算では規制を下半期から解消するとしたFRBの決定を受け、各社の配当・自社株買い計画の行方に注目したい。また、経済活動の再開が奏功し、小売りや航空会社の決算でも業績回復が期待される。

(Horiko Capital Management LLC)《FA》

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