運動によって睡眠の質が向上 定量的な脳波解析で解明 筑波大

2021年3月26日 07:39

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 良質な深い睡眠を取ることは健康維持を行う上で特に重要だが、そのために必要な行動については、不明な点も多くある。例えば就寝前の運動については、睡眠の質に良い影響を与えるという研究成果もあれば、それに対して否定的な報告もされてきた。

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 筑波大学は24日、定量的な脳波の解析と被験者の主観に基づく睡眠判定とを組み合わせた手法により、運動が睡眠に及ぼす影響を調査した結果、就寝前の運動によって睡眠の質が向上し、短時間で効率的な睡眠要求を満たす可能性があることを発表した。

 これまでの研究では50年以上にわたって、客観的な睡眠の質判定においては、目視での睡眠脳波の分類が用いられてきた。この方法は目視という定量性に欠ける手法を用いるため、正確性や再現性の面に課題があるとされている。そこで近年では、脳波波形のエンベロープの変動係数というパラメータを定量的に解析する方法が注目されている。今回の研究では、深い睡眠時に発生するデルタ波に着目してエンベロープの解析を行った。

 その結果、睡眠前に運動を行うことによってデルタ波の強度や安定性が向上していることが判明。その一方で、睡眠中のエネルギー消費は増加し主観的な睡眠の質にも大きな改善は見られなかった。また、深い睡眠時間については減少する結果となった。これらの結果から、運動によって主観的な睡眠の質は変わらないものの、より短時間で安定な深い睡眠が可能になることが示唆されたという。

 今回の研究では、これまで明らかでなかった客観的な睡眠の質を改善する仕組みを、多角的な評価で明らかにした点で意義がある。今後の研究で運動が睡眠に与える影響についてより詳細な分析が進めば、運動の効果を最大化するための提案も可能になる。特にデルタ波のエンベロープ解析を既存のデータを含めた様々なデータに応用することで、睡眠に関してより多くの内容の解明が期待される。

 今回の研究成果は24日付の「Scientific Reports」誌オンライン版に掲載されている。

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